「青山フィルハーモニー管弦楽団第35回定期演奏会」の開催によせて

昨日、杉並公会堂において青山フィルハーモニー管弦楽団の2021年3月及び2022年3月卒業生(東京都立青山高等学校第73期生及び第74期生)による演奏会が開催されました。

これは、2020年5月3日(日)に開催予定であった青フィルの第35回定期演奏会が新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で中止になったことを受けての代替公演として行われたものです。

演奏曲目は第35回定期演奏会で取り上げる予定であった作品を基本とし、一部内容を変更して行われました。

今回の演奏曲は以下の通りでした。

チャイコフスキー/交響曲第5番より第1楽章、第4楽章
シュトラウス2世/喜歌劇『こうもり』序曲
チャイコフスキー/バレエ組曲『眠れる森の美女』より「ワルツ」
ヨーゼフ・シュトラウス/『鍛冶屋のポルカ』

第35回定期演奏会の中止から約2年3か月、第73期生と第74期生がそれぞれ青山高校を卒業してから約1年5か月と約5か月が経過し、それぞれ異なる進路を選び、現在は新しい活躍の場を得ています。

そのような中で中止となった演奏会の代替公演を行うことを決めるだけでなく、演奏会場や練習会場、楽器などの手配を行うことは、青フィル在籍中とは違う困難を伴うものでした。

また、実際に公演を行うに際しても、活動の範囲が一定の枠組みに納まっていた在学中に比べて多様化していることは、第73期生と第74期生の全員が揃って出演することを難しくしました。

とりわけ練習の場所と期間の確保の問題は大きく、最終的に青フィル在校生の皆さんが夏季合宿を終了した翌日から1週間、青山高校の音楽室を利用して練習を行えたことは、出演者と青フィル及び学校側の調整と連携の成果でした。

こうした中で行われた公演は、もとより本来行うはずであった公演を代替的に催行したという点で大きな意義を持つとともに、卒業後も音楽への興味と関心を失わず、「第73期生が成人したときに演奏会を開こう」という2年3か月前の「約束」を果たすという初志が貫徹されたという点でも重要な意味を持つものでした。

何より、定期演奏会の中止によって誰よりも最も大きな精神的な喪失感を覚えた皆さんが「申し訳ない」と公演の中止を各方面に伝えた日から今回までの道のりを振り返るだけで、今回の演奏会が一人ひとりの出演者にとって重要な出来事であったことが分かります。

それだけに、今回、無事に公演を終えた皆さんの取り組みを大いに讃えるとともに、これからも卒業生の一人として青フィルの活動を様々な形で支援されることを願う次第です。

<Executive Summary>
The Rescheduled Concert of the Aoyama Philharmonic Orchestra the 35th Regular Concert (Yusuke Suzumura)

The Rescheduled Concert of the Aoyama Philharmonic Orchestra's 35th Regular Concert which was planned to be held on 3rd May 2020 and cancelled by the outbreak of the COVID-19 was conducted at the Suginami Kokaido on 19th August 2022.

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