NHK音楽祭2021

昨年12月27日(月)から31日(金)まで、NHK FMでNHK音楽祭2021の実況録音が放送されました。

放送は、オーケストラアンサンブル金沢、仙台フィルハーモニー管弦楽団、九州交響楽団、日本センチュリー交響楽団、NHK交響楽団の順番でした。

第1日目のオーケストラアンサンブル金沢の公演では、奥井紫麻のピアノと松木さやのフルートは聞き映えがするとともに、室内管弦楽という編成の妙を活かした井上道義の指揮が楽団から瑞々しい演奏を引き出していました。

仙台フィルハーモニー管弦楽団の公演の実況録音では、進境著しい藤田真央がラフマニノフのピアノ協奏曲第3番で正確さと情感の豊かさに満ちた演奏を披露するとともに、高関健の指揮によるプロコフィエフの交響曲第5番の端正さがひときわ印象的でした。

金子三勇士の洗練された演奏によるリストのピアノ協奏曲第1番と、田中祐子の的確な譜面の理解がベルリオーズの幻想交響曲を魅力あふれる演奏に仕上げたのは九州交響楽団の公演で、近年活況を呈する九州交響楽団の躍動感をよく伝えました。

第4日目に紹介された日本センチュリー交響楽団の公演の実況録音では、松田華音の独奏によるシチェドリンのピアノ協奏曲第1番が出色の仕上がりで、飯森範親 の的確な指揮による『イーゴリ公』と『シェエラザード』も奥行きのある演奏でした。

そして、最終日のNHK交響楽団はショパンのピアノ協奏曲第1番におけるブルース・リウの鍵盤捌きの華麗さと起伏に富む音楽作りと、尾高忠明の指揮によるショスタコーヴィチの交響曲第5番の堂々とした演奏により、「ホストオーケストラ」としての面目を施しました。

例年NHK交響楽団と外国の楽団により行われるNHK音楽祭は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大のため2020年の公演は中止となりました。また、2021年も外国の楽団の来日が出来ないため、NHK響に加えて他の国内の楽団が出演する形式で実施されています。

種々の制約があるという現在の状況の下では、1回の公演を開催することでさえ多くの困難が伴います。

その様な中でNHK音楽祭が新しい形で開催されたことに関係者の尽力のほどが窺われるとともに、全ての公演が無事に挙行されたことを喜ばしく思う次第です。

<Executive Summary>

The NHK Music Festival 2021 (Yusuke Suzumura)

The NHK Music Festival 2021 was held from 9th October to 25th November 2021 and broadcasted via NHK FM from 27th to 31st December 2021. In this time 5 orchestra including the NHK Symphony Orchestra appeared and held each concert.

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