バイデン新政権の「大企業規制」に球団経営者は戦々恐々
去る11月30日(月)、日刊ゲンダイの2020年12月1日号27面に連載「メジャーリーグ通信」の第81回「バイデン新政権の「大企業規制」に球団経営者は戦々恐々」が公開されました[1]。
今回は「バイデン政権」が誕生する場合に米球界が受ける影響を検討しています。
本文を一部加筆、修正した内容をご紹介しますので、ぜひご覧ください。
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バイデン新政権の「大企業規制」に球団経営者は戦々恐々
鈴村裕輔
11月3日の米国大統領選挙では、得票数でも獲得選挙人の数でも現職大統領ドナルド・トランプが民主党候補のジョー・バイデンを下回った。
大統領選挙の慣例では開票結果が確定した場合、劣勢の側が敗北宣言を行うことで勝者が決まる。ただ、トランプの場合は選挙に不正があったとして、開票結果ではなく法廷で勝敗を決する姿勢を見せ、共和党の一部もトランプに同調する動きがみられた。
しかし、選挙の不正を訴えても裁判で敗れる可能性は高く、大部分の共和党議員はトランプから急速に距離を置き、トランプが雇い入れた弁護団も相次いで法廷闘争から撤退している。
そのため、一貫して強気の態度を取って来たトランプも、11月末には12月14日の選挙人による投票で敗北が決定すれば結果を受け入れる意向を示した。
これで、2021年1月には民主党が4年ぶりに政権に復帰し、新たにバイデン政権が発足する可能性が高まったと言える。
それでは、トランプからバイデンへの政権の交代が実現すると、米国の球界はどのような影響を受けるだろうか。
現在、米国にとって最大の懸案事項となっているのは対中関係、特に貿易問題だ。
「米国第一」を掲げ国外に移転した産業の拠点を米国内に回帰させる政策を掲げたトランプが一部の中国製品に高関税を課すと、中国側も対抗措置として米国の対中輸出品に報復関税を設定してきた。
こうした米中の対立は、政権の交代によっても直ちに解消されることはない。むしろ、民主党の支持基盤である労働組合にとっても、米国内に生産拠点が回帰することは好ましい。
何故なら、中国や他国に工場が移転したことで空洞化が起きた米国の産業界を活性化させるためには、雇用の創出が不可欠であり、トランプの対中強硬策は一定の効果を残したからだ。
従って、とりわけ貿易面での米中関係は、政権の主がトランプからバイデンに代わっても極端な変化を起こしにくい。
これに対し、バイデンは民主党左派のアレクサンドリア・オカシオ=コルテスやバーニー・サンダースらの協力もあって当選を確実としただけに、富裕層や大企業への課税やIT企業、金融機関への規制の強化といった左派の主張する政策を真剣に検討せざるを得ない。
一連の規制は各球団の親会社の経営に影響を与えかねず、本業が不振となれば球団が資産価値の高さゆえに売却されたり、選手年俸や設備の更新などが抑制されかねない。
球団経営者たちは、「バイデン新政権」の大企業規制が党内左派の歓心を買うための方便に留まり、実現しないことを願っているのである。
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[1]鈴村裕輔, バイデン新政権の「大企業規制」に球団経営者は戦々恐々. 日刊ゲンダイ, 2020年12月1日号27面.
<Executive Summary>
What Is a Problem for MLB Owners against the Biden Administration? (Yusuke Suzumura)
My article titled "What Is a Problem for MLB Owners against the Biden Administration?" was run at The Nikkan Gendai on 30th November 2020. Today I introduce the article to the readers of this weblog.
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