Orchestra Ligare第1回定期演奏会

本日は、14時から16時43分まで高槻現代劇場大ホールにおいてOrchestra Ligareの第1回定期演奏会を聞きました。

今回は、前半にグラズノフの祝典序曲とチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番、後半にラフマニノフの交響曲第2番が演奏されました。ピアノ独奏は小笠原真也、指揮は岡本陸でした。

寸評は以下の通りです。

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関西地方の大学や市民団体の在籍者を中心に結成されたOrchestra Ligareの第1回定期演奏会が開催された。

記念すべき最初の演奏会は、前半にグラズノフの祝典序曲とチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番、後半にラフマニノフの交響曲第2番が演奏された。ピアノ独奏は小笠原真也、指揮は岡本陸であった。

たとえ一人ひとりの演奏者の能力が高く、運営の担当者の経験が豊富であるとしても、演奏する側も聞く側も相応の緊張を抱くものが新しい団体の最初の演奏会だろう。そして、最初の演奏会の内容のいかんは今後の団のあり方をある程度まで規定するだけでなく、聞き手の支持の多寡をも左右する。

その意味で、もしこの日の演奏会が前半のみで終わっていたなら、Orchestra Ligareの今後の見通しは決して芳しくなかっただろう。

例えば、祝典序曲という名が与えられてはいるものの抑制的な側面が強いグラズノフは、楽団の手堅さを示しはするとしても、高揚感と解放感の点で物足りなさが残る選曲だった。

続くチャイコフスキーは、舞台上手奥に置かれたピアノを移動した後にヴァイオリンの椅子と楽譜の配置が異なるなどの手違いがあり、不意の中断が生じた。指揮の岡本が急遽舞台に現れて楽団の発足の経緯や曲目の説明を行うことで難所を乗り切ったものの、予想外の出来事が演奏者と聞き手の集中力を削いだことは明らかであった。

特に独奏の小笠原にとっては手痛い中断となったようで、冒頭から安定さを欠きがちな演奏となったことは悔やまれるところだった。また、伴奏も一旦途切れた集中力を最後まで取り戻すことが出来ず、最後まで独奏の陰に隠れたままであった。

一方、休憩後のラフマニノフはこれまで周到な練習が積み重ねられてきたことが明らかな演奏で、各奏者の演奏の密度が整い、細部まで彫琢された奥行きのある仕上がりとなっていた。

前半は不安定であった管楽器も腰が据わり、打楽器も不断に作品の全体を俯瞰しながら自らの位置取りを決める綿密さを発揮するなど、人数に頼らない繊細な演奏を行ったことは、今後の楽団の活動の展望の明るさを示唆するものだった。

最初の3回の演奏会を無事に開催することが出来れば、団の運営も軌道に乗る。そして、それまでの間に財政基盤、指導体制、運営機構を確立することが、安定した組織となるための不可欠の事項となる。

演奏の面で一定の成果を残しただけに、今後はとりわけ演奏会の最中の運営をより充実させられれば、Orchestra Ligareはより魅力的な団体となることだろう。

*Orchestra Ligare第1回定期演奏会. 2020年2月24日(月、祝), 14時から16時43分, 高槻現代劇場大ホール.
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<Executive Summary>
Stage Review: Orchestra Ligare the 1st Regular Concert (Yusuke Suzumura)

The Orchestra Ligare held the 1st Regular Concert at Main Hall of the Takatsuki Gendai Gekijo on 24th February 2020. In this time they played Glazunov's Overture Solennelle, Tchaikovsky's 1st Piano Concerto, and Rachmaninoff's 2nd symphony. Solo piano was Shinya Ogasawara and conductor was Riku Okamoto.

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