「初の電力需給逼迫警報発令」はいかなる意味を持つか

昨日、経済産業省は東京電力ホールディングス管内と東北電力管内で電力不足に陥る恐れが高まったことを受け、電力需給逼迫警報を発令しました。

両管内の企業や家庭などでの使用電力の節減が行われた結果、昨日と本日の両日とも、広範囲に及ぶ停電は回避されました。

2011年の東日本大震災を受けて送電網の整備と増強の必要さが指摘されながら具体的な取り組みが進まないままであったことが、今回の警報の発令に繋がったとする指摘[1]がある点を考えると、今後同様の事態を回避するためには地域間の電力の融通をどのように強化するかが不可欠であることが分かります。

ところで、今回の事態は、3月16日(水)に東北地方で起きた地震により両管区内での火力発電所が操業を停止したために起きました。

一見すると当然の出来事のように思われるものの、実際には部分的であれ首都圏が消費する電力を域外の発電所に依存しているという点に注意を払うのは重要です。

何故なら、すでに東日本大震災の際にも明らかになったように、各地域が相互に緊密に結び付き遠方で起きた災害による被害が身近な障害に繋がることが改めて示されたからです。

電力の場合に限っても、大都市圏では発電施設の建設が難しいため遠方にある設備からの供給を受けています。

こうした事実は、普段われわれが見逃しがちながら、決して逃れることのできない重要な問題です。

その意味で、今回の出来事は、われわれに改めて貴重な教訓を与えたと言えるでしょう。

[1]送電網整備 先送りのツケ. 日本経済新聞, 2022年3月23日朝刊3面.

<Executive Summary>

What Is a Lesson of Power Crunch Alert for Us? (Yusuke Suzumura)

The Japan's Government issues Power Crunch Alert on 22nd March 2022 by the influence of a strong earthquake of last week. In this occasion we examine a meaning of this alert for our daily life.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?