【書評】小西徳應、竹内桂、松岡信之『戦後日本政治の変遷――史料と基礎知識』(北樹出版、2020年)

去る4月1日、小西徳應先生、竹内桂先生、松岡信之先生の編著書『戦後日本政治の変遷――史料と基礎知識』(北樹出版、2020年)が刊行されました。

本書は、冨田信男、楠精一郎、小西徳應の3氏による『新版 日本政治の変遷』(北樹出版、1993年)の内容を踏まえつつ、取り上げる時期を1945年から現在までに限定しされています。

具体的には、第1部「占領から独立」、第2部「55年体制」、第3部「連立内閣の時代」からなり、見開き2頁の左側には「敗戦を巡る決断」から「第48回総選挙と民進党の分裂」まで80項目が立てられ、右側には取り上げる話題に関連した議事録や回顧録、新聞記事などの資料や、重要な選挙の結果などが紹介されています。

また、巻末の資料には「自由民主党の派閥の変遷」、「主要政党の変遷」、「戦前資料」と、それぞれの項目で取り上げた文献を含む資料一覧が掲出され、いつの時代にどのような出来事があり、それぞれの出来事は同時代の人々にどのように捉えられ、いかに報じられたかを知るための重要な手掛かりとなっています。

各項目の記述は中立的、抑制的であるため、それぞれの出来事がどのような意味や構造を持つのかを知りたいと思う読者にはやや物足りないかも知れません。

こうした場合には、右側の資料紹介の欄や巻末の資料一覧が有益で、これらの情報からさらに知見を深めることが出来ることでしょう。

その意味で、『戦後日本政治の変遷――史料と基礎知識』は、戦後の日本の政治史の教科書として学習者の学びを増進させるだけではなく、この分野に興味や関心を持つ一般の読者にも格好の入門書となり、専門家にとっても1945年以来の日本の政治の変遷を的確に把握するために欠かせない一冊です。

<Executive Summary>
Book Review: Tokuou Konishi, Kei Takeuchi and Nobuyuki Matsuoka's "Changes of Japanese Politics in the Post-War Period" (Yusuke Suzumura)

Professor Tokuou Konishi, Dr. Kei Takeuchi and Dr. Nobuyuki Matsuoka's published a book titled Changes of Japanese Politics in the Post-War Period from Hokuju Shuppan on 1st April 2020.

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