更なる企画の実現が期待された『クラシックの迷宮』の「岩城宏之生誕90年PART2」

去る9月24日(土)、NHK FMの『クラシックの迷宮』では、特集「岩城宏之生誕90年PART2~NHKのアーカイブスから~」が放送されました。

今回は、8月27日(土)に続き、2006年に逝去し、今年9月6日で生誕90年を迎える岩城宏之さんの指揮した音源が紹介されました。

放送では、1933年1月に生まれ、1932年9月生まれの岩城さんと同学年である三善晃の交響的変容に始まり、日本人の作曲家の新作の初演に尽力した岩城さんの成果の紹介として、現代音楽祭室内合奏団との共演による佐藤慶次郎の『弦楽器のためのカリグラフィ』第2番とNHK交響楽団の第1142回定期公演における尾高尚忠のチェロ協奏曲(独奏:藤原真理)、そして岩城さんの重要な取り組みの一つであった東京混声合唱団との活動の霊として湯浅譲二の『問い』が取り上げられました。

いずれも20世紀半ば以降の日本の音楽史の発展を考える際に不可欠な存在ながら、作品が積極的に紹介される機会は限られており、しかも職業楽団の定期公演や定期演奏会で取り上げられる場面はさらに少ないというのが実情です。

その様な中で「ベートーヴェンも活躍した当時は人々にとって同時代の音楽だった」という趣旨の信念の下で同時代の作曲家の作品を最後まで取り上げ続けて来た岩城さんの取り組みが持つ意義は、前回の放送でもよく示されるものでした。

この日の放送は岩城さんの試みが作品の種類や分野にかかわらず後半に行われていたことを、改めてわれわれに伝える、大きな意義を持っていたと言えるでしょう。

ところで、岩城さんは同時代の作品の紹介とともに、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団やウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団など国外の主要な楽団の定期公演を指揮したほか、ハーグ・フィルハーモニー管弦楽団やメルボルン交響楽団などを率いた実績があります。

いずれ、「岩城宏之生誕90年」の第3弾、第4弾が企画される際は、諸外国の楽団と共演した際の音源や、初代音楽監督を務めたオーケストラ・アンサンブル金沢など日本各地の楽団との録音などが紹介されることが期待されます。

<Executive Summary>
"Labyrinth of Classical Music" Demonstrates Important and Historical Achievements of Dr. Hiroyuki Iwaki (Yusuke Suzumura)

On 24th September 2022, a radio programme entitled "Labyrinth of Classical Music" (in Japanese Classic no Meikyu) broadcasted via NHK FM featured Dr. Hiroyuki Iwaki to celebrate the 90th Anniversary of his birth again. It might be a meaningful opportunity for us to understand his efforts and achievements through records of "contemporary composers" deeper.

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