慶應義塾ワグネル・ソサィエティー・オーケストラ第229回定期演奏会で思ったいくつかのこと

昨日は、18時30分から20時40分まで、クラシック専門ストリーミングサービス"CURTAIN CALL"で行われた慶應義塾ワグネル・ソサィエティー・オーケストラの第229回定期演奏会の実況中継を鑑賞しました。

今回の会場はサントリーホール大ホールで、演奏曲目は前半がウェーバーの歌劇『魔弾の射手』序曲とリムスキー=コルサコフのスペイン奇想曲、後半がマーラーの交響曲第10番(クック版)でした。指揮は大河内雅彦でした。

当初は2月29日(土)に行われる予定であった演奏会が新型コロナウイルスの感染の拡大によって3月24日(火)に延期となったものの、終息の見込みがないため、今回、無観客による「無料ライブ配信」が行われることになりました[1]。

演奏会が中止とならず、無観客とはいえ実況中継されることは、聞き手としては大変ありがたいことです。

一方で、たとえ画面越しに聴衆がいることが分かっていても、目の前の客席に聞き手がいないということは、演奏者一人ひとりにとっては寂寞とした感情を呼び起こすことでしょう。

また、今月初旬から職業団体を中心に演奏会などの「無料配信」が本格的に始まってはいるものの、学生団体による取り組みは少ないだけに、慶應義塾ワグネル・ソサィエティー・オーケストラの皆さんが今回の実況中継の実現までに様々苦労に直面したであろうことは想像に難くありません

しかし、結果として、慶應義塾ワグネル・ソサィエティー・オーケストラらしい丁寧な演奏がなされたこと、さらに休憩時間中の出演者による実演付きの曲目の解説などの工夫が凝らされたことは、大変意義深いものでした。

もちろん、現在、演奏会の中止や延期を余儀なくされている全ての団体が同様の措置を講ずることは、人的、物的、ありは財政的な面からも難しいでしょう。

その意味で、慶應義塾ワグネル・ソサィエティー・オーケストラの取り組みを一般化することは出来ません。

それでも、こうした機会が設けられたことについて、関係者の尽力に改めて敬意を表するとともに、一日も早く演奏会場で観客が演奏会を楽しめることが願われるところです。

[1]2020年3月24日(火)『第229回定期演奏会』無料ライブ配信が決定. 慶應義塾ワグネル・ソサィエティー・オーケストラ, 2020年3月22日, http://www.wagner-society.net/about_229.html (2020年3月25日閲覧).

<Executive Summary>
What Is a Meaning of Wagner Society Orchestra's the 229th Regular Concert? (Yusuke Suzumura)

The Wagner Society Orchestra of Keio University held the 229th Regular Concert at Suntory Hall and broadcasted via CURTAIN CALL on 24th March 2020. It might be a remarkable challenge to expand a possibility of non-professional orchestra to hold a concert applying with such technology.

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