NHK交響楽団第1991回定期公演

去る9月30日(土)、16時から17時40分までNHK FMにおいてNHK交響楽団の第1991回定期公演の実況録音の模様が放送されました。収録日は2023年9月20日(水)で、会場はサントリーホール大ホールでした。

今回は、全てモーツァルトの作品が取り上げられ、前半に交響曲第29番とフルート協奏曲第2番、後半に交響曲第39番が演奏されました。フルート独奏は神田寛明、指揮はトン・コープマンでした。

コープマンが得意のモーツァルトを携え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって2021年に予定されていた定期公演への初登場が2年の延期を経て実現したのが、今回の公演です。

神田寛明の軽やかで聞き手に微笑みかけるかのようなフルートの演奏こそ大きな収穫であったものの、その他の点についてはごく標準的な仕上がりとなっていました。

交響曲第29番につては、コープマンの研究の成果に基づき、譜面には記載されていないファゴットが追加されているものの、実際には曲の性格を変えるというよりは音楽全体の安定感を高める効果を発揮しており、様々な試みのひとつとして、一聴に値するものでした。

また、交響曲第39番は第1楽章の序奏の演奏に足並みの乱れが認められ、第4楽章の終わりもまとまりが足りない、全体としてやや集中力に欠ける内容でした。

この日の公演はコンサートマスターが客演の長原幸太であったことが、他の団員との間での細やかな意思の疎通に円滑さを欠く状況をもたらし、あるいはコープマンもしくは楽団に力が入り過ぎたのか、それともこれらの全てなのか、いずれにしても興味深く思われたものでした。

<Executive Summary>
The NHK Symphony Orchestra the 1991st Subscription Concert (Yusuke Suzumura)

The NHK Symphony Orchestra held the 1991st Subscription Concert at the Suntory Hall on 20th September 2023 and broadcasted via NHK FM on 30th September 2023. In this time, they performed three Mozart's music: the 29th Symphony, Flute Concerto, and the 39th Symphony. Solo flute was Hiroaki Kanda and conductor was Ton Koopman.

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