【参加報告】法政大学江戸東京研究センターシンポジウム「パブリックアートと東京」

今日は、13時から17時まで法政大学江戸東京研究センターのシンポジウム「パブリックアートと東京」がオンライン形式で開催されました。

今回は、アートディレクターの北川フラム氏による基調講演「地域型芸術祭のいま?!~社会のインフラとしてのアート~」に続き、高田洋一氏(彫刻家・美術家)が「パブリックアートの制作現場から――新しい作品との出会い方」、藤井匡氏(東京造形大学)が「パブリックアートのつくる公共性」、荒川裕子氏(法政大学)が「パブリックアートの受容のありかたをめぐって」と題して報告しました。

また、基調講演と報告を受けて、岡村民夫氏(法政大学)、岩佐明彦氏(法政大学)、岩井桃子氏(キュレーター)がパネリストとして、文化論、都市計画、美術館展示など、それぞれの観点からさらなる議論の展開を行いました。

一連の話では、現在の日本における「パブリック」が個人の思想・信条の分野にまで踏み込んでおり、「コロナ禍」によって「政府が認めれば正しい、認めなければ正しくない」という判断基準が力を得ていること、「パブリックアート」における「パブリック」とは地域住民や会場を訪れる人を守れるか否かに関わること、都市型パブリックアートの限界として市民が完成品しか見られないために作品が工業製品と同一視されること、1960年代以降の日本のパブリックアートが担い手を変えながら発展してきたこと、美学や芸術学を専門としない大学生にとって「パブリックアート」とは「気軽に、無料で見られるもの」という理解があることなどが議論されました。

「パブリックアート」という表現が持つ「パブリック」と「アート」の意味の検討と実際の芸術祭や作品の紹介と分析を通して、東京という場所における開かれた表現方法としての「パブリックアート」のあり方と今後の展望が示されました。

<Executive Summary>
EToS' Symposium: Public Art and Tokyo (Yusuke Suzumura)

The Hosei University Research Center for Edo-Tokyo Studies held a symposium "Public Art and Tokyo" via Zoom on 28th November 2020.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?