パリオリンピックの閉会に寄せて

昨日、7月26日(金)に閉幕したパリオリンピックが閉会式を行い、全日程を終了しました。

今回、日本は米中両国の40個に次ぐ第3位となる20個の金メダルを獲得するとともに、メダルの獲得総数も45個で第6位となりました。

日本の金メダルの獲得総数は前回の東京大会の27個に次いで歴代2位であり、国・地域別でも2大会連続で第3位の獲得数となりました。

東京大会での金メダルの獲得数が過去最多となったのは、時差や気候への対応という点で有利となる自国での開催とともに、過去の実績からメダルを獲得する可能性の高い競技への支援を行うという文部科学省スポーツ庁をはじめとする政策的な対応の結果でもありました。

パリ大会も後者が継続して行われたことが、具体的な結果をもたらしたといえます。

それとともに、ブレイキンのような新種目で好成績を収めたことは、1964年の東京大会において初めて正式種目となったバレーボールで女子が活躍し、「東洋の魔女」と称された事例と同じ構造を持ちます。

すなわち、バレーボールそのものは普及していたものの、オリンピックの競技としては新規であったため参加者間の実力の差が大きく、他に先駆けて選手の育成などに取り組んでいた日本が相対的に有利な地位を占めることが出来たのでした。

しかし、その後に他の国や地域も本格的ン競技に取り組んだ結果、日本の優位性がなくなり、長らくオリンピックでの成績が不振となったのは周知の通りです。

そのため、既存の競技者がオリンピックにそのまま移行した形のブレイキンも、他国・地域が本格的に選手の育成を行えば、日本の立場は変化することになります。

もとよりオリンピックにおいてメダルを獲得することは競技者の日頃の努力の表れをより直感的に理解するために重要な手掛かりとはなるものの、メダルの獲得がオリンピックに出場することの意味そのものではありません。

それでも、国家の政策としてスポーツの振興や普及だけではなくオリンピックにおけるメダルの獲得を標榜し、具体的な数値の目標も定めている以上、施策の妥当性の検証という観点からメダルの獲得数に注意を払うことは当然となります。

従って、今回のパリオリンピックはメダルの獲得という点で所期の政策が成果を上げたことを推察させます。

それだけに、今後日本がどのようなオリンピックに対する政策を策定するのかが注目されます。

<Executive Summary>
What Is the Meaning of the Paris Olympics Games for Japan? (Yusuke Suzumura)

The Paris Olympic Games ended on 11th August 2024. On this occasion, we examine Japan's polices on the Olympics and sports with the results of the Paris Olympics.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?