青山フィルハーモニー管弦楽団第37回定期演奏会雑感(1)

5月1日(日)に行われた青山フィルハーモニー管弦楽団の第37回定期演奏会の概要については、本欄でご紹介した通りです[1]。

そこで、今回はこの公演についての雑感をいかにご紹介いたします。

青フィルの第37回定期演奏会の曲目は前半に森田一浩の"Ovation!"、ロッシーニの歌劇『セヴィリアの理髪師』序曲、エルガーの威風堂々第1番、後半にブラームスの交響曲第1番、アンコールとしてシュトラウス1世のラデツキー行進曲が取り上げられました。

この中で最も印象的なのは、森田の"Ovation!"です。

本作は第20回定期演奏会を記念し、当時の青フィル代表顧問であった佐藤和征先生が森田さんに委嘱したものです。青フィルとしては第30回、そして今回と、節目となる公演で取り上げるとともに、初演以来青山高校の入学式及び卒業式において新入生と卒業生の入場曲として演奏しており、まさに青フィル、青山高校のために作られた曲として広く親しまれています。

こうした"Ovation!"ながら、作曲者である森田さんは昨年8月に逝去しているため、今回は青フィルにとって3年ぶりの定期演奏会の劈頭を華やかに飾るだけでなく、息長く演奏される作品を送り出した森田さんの追善としてもふさわしいものになりました。

また、ブラームスの交響曲第1番については、作品の構造と洗練された作曲技法の確かさが実感される演奏で、特に楽章を追うごとに音楽の輪郭が明瞭に描かれたことは、演奏者一人ひとりの日ごろの取り組みが真摯なものであったことを伝えるには十分なものでした。

何より、第4楽章の最後の金管楽器が作品に求められる重厚さと輝かしさを備えつつ吹奏したことは、演奏の聞き応えを高めるだけでなく、ブラームスの内奥に迫るだけに力量を示したものであったといえるでしょう。

[1]鈴村裕輔, 青山フィルハーモニー管弦楽団第37回定期演奏会. 2022年5月1日, https://researchmap.jp/blogs/blog_entries/view/76353/3d6624532daedfb87142fcad7c5d4f12?frame_id=435622 (2022年5月2日閲覧).

<Executive Summary>
Miscellaneous Impressions of the Aoyama Philharmonic Orchestra the 37th Regular Concert (Yusuke Suzumura)

The Aoyama Philharmonic Orchestra held the 37th Regular Concert at the Suginami Kokaido on 1st May 2022. In this occasion I express my miscellaneous impressions of the concert.

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