映画『遠すぎた橋』で思い出したいくつかのこと

本日、NHK BSプレミアムで映画『遠すぎた橋』(原題:A Bridge Too Far、1977年)が放送されました。

NHKが『遠すぎた橋』を放送するのは2003年2月14日(金)、2019年10月28日(月)に続いて通算3回目となります。

『素晴らしき戦争』(原題:Oh! What a lovely War、1969年)で戦争映画の新境地を開拓したリチャード・アッテンボローが、第二次大戦を題材に戦争の無残さと不毛さを描き出すのが本作です。

ノルマンディー上陸作戦直後のオランダを舞台とし、アメリカ軍の快進撃を見せ付けられたイギリスのバーナード・モントゴメリー元帥が、オランダの解放を目指すマーケット・ガーデン作戦の遂行を指示し、命令を受けた現地の連合軍が、国境沿いの5つの橋を占拠してドイツ軍を国外に排除しようとするものの、ドイツ軍の予想外の反撃や情報伝達の悪さなどから次々に軌道修正を余儀なくされ、物資が尽きた連合軍がドイツ軍に屈するという筋立ては、広く知られるところです。

また、作戦の失敗後、指揮能力の欠如と責任問題を追及しようとしたロイ・アーカート少将(ショーン・コネリー)に対し、優柔不断な司令官フレデリック・ブラウニング中将(ダーク・ボガード)は、「橋が、少し遠かった」と答える姿は、命をかけて闘う最前線の将兵と、自らの判断の責任を取らない司令官の差を象徴的に示し、戦争がいかに不毛なものかを描き出します。

ところで、私が本作を初めて見たのは、1991年9月26日(木)に放送されたテレビ東京の「木曜洋画劇場」でした。

私が俳優としても贔屓にしているリチャード・アッテンボローが監督し、映画『ジャッカルの日』(原題:The Day of the Jackal、1973年)以来評価していたエドワード・フォックスがブライアン・ホロックス中将役で出演していたこと、何よりテレビ東京が「特別放送」と銘打って宣伝を盛んに行っていたこともあり、興味深く視聴したものでした。

その後は、映画の原作である、コーネリアス・ライアンのA Bridge Too Far(1974年)を購入したものです。

また、君塚直隆先生の近著『エリザベス女王』(中央公論新社、2020年)において、フィリップ・マウントバッテン海軍大尉と結婚したエリザベス王女の宮廷の会計官としてブラウニング中将が任命されたという逸話[1]が記されているのを目にするなど、『遠すぎた橋』は私にとって印象的な作品となっています。

[1]君塚直隆, エリザベス女王. 中央公論新社, 2020年, 46頁.

<Executive Summary>
Miscellaneous Memories of a Movie "A Bridge Too Far" (Yusuke Suzumura)


A movie A Bridge Too Far made in 1977 and directed by Richard Attenborough was broadcasted at the NHK BS Premium on 26th August 2020. In this occasion I remember miscellaneous memories of the movie.

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