【参加報告】日本国際文化学会第20回全国大会

昨日、日本国際文化学会の第20回全国大会がオンライン形式で行われました。

私も、11時10分から13時25分まで共通論題(2)「オリンピックと政治宣伝--1930年代の事例を中心に」の座長と報告者を務めました。

今回の共通論題では1936年のベルリンオリンピックの成功を受け、オリンピックを国威発揚と対外的な日本の優越性の誇示の方法として活用とした当局の政治宣伝のあり方を検討しました。報告者は私と中川拓哉先生(名古屋大学)で、コメンテーターは飯森明子先生(早稲田大学)でした。

中川拓哉先生の報告「オリンピックと「国民」 映画『国民の誓』を例に」は1940年に開催予定であった札幌冬季五輪と、ドイツの山岳映画の系譜に連なる日独合作映画『国民の誓』に焦点を当て、身体の神聖化、困難に耐え抜き苦境を克服する理想の国民像の描出のあり方などが検討されました。

次に行われた私の報告「「1940年の東京五輪」と政治宣伝」では、内閣情報部(後に情報局)が1938年2月に創刊した国内向け国策写真雑誌『写真週報』を対象に、「官製メディア」が東京オリンピックをどのように取り上げ、オリンピックと政治宣伝との間にどのような関係があったかを検討しました。

さらに、飯森明子先生によるコメントでは、「幻の東京五輪」の研究の潮流を、(1)政治・外交史、(2)大衆社会論・メディア史、(3)スポーツ文化論、の3つに区分し、「外向きの国際『文化交流』」と「内向きの『国際』文化交流」との対比の下にオリンピックと政治宣伝の関係を検討することの受容性などが指摘されました。

日本国際文化学会としては初めて行われたオンライン形式による全国大会において、50名を超える会員の皆さんに集まっていただけたことは大変にありがたいことでした。

また、大会の円滑な運営に尽力された実行委員の皆様の取り組みにも感謝するとともに、共通論題に参加して下さった中川拓哉先生と飯森明子先生のお力添えにも深謝する次第です。

なお、来年7月に開催される第21回全国大会は神戸大学を会場として行われる予定です。

<Executive Summary>
The Japan Society for Intercultural Studies the 20th Annual Conference (Yusuke Suzumura)

The Japan Society for Intercultural Studies held the 20th Annual Conference via Zoom on 10th and 11th July 2021. I participated with the conference and hold a round table entitled with "The Olympics and Propaganda: Focusing on the 1930s" with Dr. Takuya Nakagawa of Nagoya University and Dr. Akiko Iimori of Waseda University.

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