『N響ザ・レジェンド』の終了に際して思ったいくつかのこと

昨夜は、19時20分から21時まで、NHK FMで『N響ザ・レジェンド』に耳を傾けました。

この日をもって放送が終了するため、今回は聴取者からの支持の高かったロヴロ・フォン・マタチッチやNHK交響楽団の指揮研究員から出発して1960年の世界一周音楽旅行を成功に導くなど、NHK響を長く支えた岩城宏之、さらに逝去直前にNHK響と最初で最後の共演を果たしたイーゴリ・マルケヴィチらの演奏が紹介されました。

今回取り上げられたのは以下の5曲でした。

(1)ベートーヴェン/交響曲第2番
指揮:ロヴロ・フォン・マタチッチ、管弦楽団:NHK交響楽団、会場:NHKホール、収録日:1984年3月14日

(2)シュトラウス2世/トリッチ・トラッチ・ポルカ
指揮:ウィリー・ボスコフスキー、管弦楽団:NHK交響楽団、会場:東京文化会館、収録日:1963年8月31日

(3)ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番より第3楽章
ピアノ独奏:エミール・ギレリス、指揮:ウィルヘルム・ロイブナー、管弦楽団:NHK交響楽団、会場:共立講堂、収録日、1957年10月12日

(4)チャイコフスキー/交響曲第5番より第4楽章
指揮:岩城宏之、管弦楽団:NHK交響楽団、会場:モスクワ音楽院、収録日:1960年9月4日

(5)チャイコフスキー/交響曲第6番「悲愴」より第3楽章、第4楽章
指揮:イーゴリ・マルケヴィチ、管弦楽団:NHK交響楽団、会場:NHKホール、収録日:1983年1月12日

いずれも興趣の尽きない内容ながら、第5曲目であるマルケヴィチの指揮するチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」の第4楽章が終わった後、檀ふみさんが「さぁ、最後になりましたが」と池辺晋一郎さんに6年間の感想を求めたのは、番組の掉尾を飾るにふさわしい場面でした。

そして、番組の終了後に、いつもは途中までしか流されないモーツァルトの「セレナータ・ノットゥルナ」の第3楽章を最後まで紹介したのは、制作者側が番組の終わりを晴れがましく迎えるための心配りであったと言えるでしょう。

それとともに、2015年4月の放送開始以来、市販の音源ではなくNHKが保有する原盤を積極的に利用することで、アレクサンダー・ルンプフなどのようにNHK響の常任指揮者ながらほとんど忘れ去られた指揮者の事績が紹介されたことは意義深く、改めて『N響ザ・レジェンド』に関わった皆さんの尽力に感謝する次第です。

<Executive Summary>
Miscellaneous Impressions of "NHK Symphony Orchestra the Legend" (Yusuke Suzumura)

A radio program of the NHK-FM entitled with "NHK Symphony Orchestra the Legend" closes on 27th March 2021. In this occasion I remember miscellaneous impressions of the program.

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