「東京2020の新たな始まり」を告げる「パラリンピックの閉会式」

昨日、パラリンピック東京大会の閉会式が行われ、全日程が終了しました。

オリンピック東京大会と同様に、今大会も開催都市である東京都が新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が発令される中で実施されました。

新型コロナウイルス感染症の世界的な感染の拡大という未知の状況の中で開催された両大会だけに、今後のオリンピック及びパラリンピックだけでなく、その他の大規模な国際的な競技会を行うためにも何らかの新たな知見が得られたとすれば、今大会の意義は決して小さくないと言えるでしょう。

また、今後、大会の運営を振り返り、評価すべき点と改善すべきであった点を検証することは、大会の開催費用が当初の想定よりも増加したことや大会組織員会内部の人事が迷走したことなども含め、大会が誰のためのものであるかという根本的な事柄を問うという点からも不可欠な取り組みとなります。

さらに、テレビ放映権が収入の大部分を占め、得られた資金を各国際競技連盟(IF)に配分することでIFを金銭的に統制するという国際オリンピック委員会の既存の秩序が優先され、選手の利益の扱いが小さくなりやすい現在のオリンピックの仕組みなどは、これからのオリンピックの行方を検討するという点で大きな意味を持ちます。

あるいは、パラリンピックについては、スポーツ庁の創設と厚生労働省からの移管に伴い、従来の福祉行政から競技性の重視への移行をどのように評価するかという点は、日本におけるパラリンピックのあり方そのものを考えるためにも重要です。

「東京2020」は昨日で終わり、大会組織委員会も今後半年を目途に解散されるとはいえ、われわれが検討すべき課題は決して少なくありません。

その意味で、昨日のパラリンピック東京大会の閉会式は「東京2020」の終わりではなく、終わりの始まりでもなく、始まりの終わりを迎えたのです。

<Executive Summary>
The Closing Ceremony of the Tokyo Paralympics Is Not the End of the Tokyo 2020 (Yusuke Suzumura)

The Closing Ceremony of the Tokyo Paralympics was held at the National Stadium of Japan on 5th September 2021. However it is not the end, the starting of the end of, but just the end of the starting of the Tokyo 2020 and we have to review actual figure of management of the Tokyo Olympic and Paralympic Games.

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