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3年半の勉強期間を経て司法試験一発合格。弁護士を目指した背景や法科大学院選びの基準、勉強法を執筆してみた。

こんにちは!LegalOn Technologiesで修行中の永野(ながの)と申します!
私事ではございますが、このたび司法試験に合格しました!
社内でたくさんの方にお祝いの言葉を頂き、噂が回って広報より声をかけてもらって、今回記事を執筆するに至りました(笑)。
広報からは、私が弁護士を目指した背景や一発合格した勉強法などを紹介してほしいとお願いされたので、お伝えしたいと思います!

▼「ちょこっと弁護士Q&A」はこちら


自己紹介

生まれと育ちは長崎県。海と山に囲まれた地域です。
スポーツは中学時代に野球(主将)、高校時代にラグビーをしていて、4回骨折しても試合に出続ける異業を成し遂げつつ、ラグビー部のOBに感化されて法学部に進学しました。
そのOBは弁護士で、会話の中で「弁護士という職業は社会の役に立てるし、人のためにもなる仕事」と聞いてすごく素敵だと思い、まだ決意は固めていないにせよ、弁護士になる可能性を残しておくために専攻を決めました。
ちなみに大学時代は唐揚げ屋でバイトをし、揚げものを華麗に売りさばく料理人でもありました。

大学3年の夏、就活に疑問を感じた

骨折だの唐揚げだの脱線しましたが、大学生の時にバイトとサークル活動に明け暮れながらも、周囲の学生と同じように、3年生の夏に私は就職活動を開始しました。
しかし、各企業それぞれに色があり、その色に溶け込まなければならないという義務感を感じた時、自分には向いていないのではないかと思ったんです。
あらためて「自分は何をしたいのか」を考えました。

大学3年の冬、失われていない30年を見てみたい

日本経済が低迷した1990年代のバブル崩壊から現在までは、「失われた30年」と言われていますよね。
私は25歳ですが、生まれてからずっと失われてます。
「失われていない日本を見てみたい」
純粋な気持ちでこう思いましたし、これを見るために何らかの形で社会に貢献したいという思いから、私は就活をやめて大学3年の冬から司法試験の勉強を始めました。

なぜ司法試験?

日本の成長が鈍化している原因として、スタートアップの育成が不足していたり、最新のテクノロジーが日本から生まれなかったりと、先端分野に弱いという点が挙げられます。
これらの課題に対し、弁護士であれば何らかの支援ができるのではないかと考えました。
そう考えた背景には、大学で身につけた「法律の知識」があります。
この法律の知識という武器を司法試験合格によって確固たるものとし、弁護士として課題のある先端分野を支援できることは自分らしさでもあり、おもしろいのではないかと思いました。
弁護士になって社会貢献できる存在になりたいという思いから、司法試験の勉強を開始しました。

一旦就職をして、予備試験ルートで考えなかったのか

弁護士になるには、二つのルートが存在します。
・大学を卒業後、法科大学院を経て司法試験を受ける
・受験資格に条件がない予備試験を経て、司法試験を受ける

私の場合、勉強を始めたのが遅かったので、一度就職して、働きながら試験に挑戦することも考えました。
しかし、はたしてこの気持ちのまま行きたい企業が見つかるのか不安がありました。
だから、就職はせず大学院へ進学し、弁護士になろうと考えました。
弁護士になった後でも、出向やインハウスという形で企業で働くことができるので、先に弁護士資格を取ってしまうのが最善のルートだと思いました。

大学院選びの基準

大学院進学時に進路として選んだのは一橋大学法科大学院です。
勉強時間の差は埋められない前提で、どこまでリソースを集中できるか考え、大学院選びの基準を決めました。

・司法試験の合格率
・入試科目の量
・大学内の雰囲気

●司法試験の合格率
司法試験合格率の高い大学院は、東大、京大、一橋、慶応といったところです。
2023年度の司法試験合格率の高い大学院ランキングは、すでに各所で公開されているので、ご参考ください。
↓参考(アガルートアカデミー 合格率ランキング)

●入試科目の量
一橋大学法科大学院の入試科目は5科目と、他の大学院の7科目に比べて少ないです。
周りは大学1年や2年から試験の勉強を始めていたのに対し、私は大学3年の冬から勉強を始めたので、かなり遅れをとっています。
正直、大学3年になるまではサークルに打ち込んで、先を考えずに大学生活を過ごしていました。
他の人より遅れていた分を補うために、科目数の少ないところを目指したんです。

●大学内の雰囲気
入試を受ける前に大学院を見学したのですが、私にとって一橋の雰囲気が一番合うなと感じました。
特徴としては、少人数制で密にコミュニケーションを取りながら、みんなで頑張っていこうという空気がある点です。
他の大学院も良い点があるのですが、同級生同士で競争するという雰囲気があり、自分は馴染めなさそうだなと思いました。


勉強法1:1日を分単位で管理、休み時間はアイマスクに耳栓

私は1日べったり勉強することが嫌いだったので、メリハリをつけて、勉強しない時間をどう生きるかに懸けていました。

勉強時間は細かく区切り、30分勉強したら、6分休むということをひたすら繰り返しました。
1日でみると、授業で4時間、自習4時間で合計8時間となります。

6分間の休憩では、アイマスクと耳栓をして、余計な情報が脳に入り込まないよう徹底していました。
勉強している時の集中力を最大化させるためです。(ゾーンに入る感覚)
時間管理も徹底し、1日中タイマーをかけっぱなしにして機械的に行動することで「勉強しなきゃ、でもしたくない」という感情を生まないようにしました。
余計な感情が入る余地があると、やっぱり欲望に流されてしまうんですよね。
朝起きて、シャワーを浴びて、散歩して、ご飯を食べて、昼寝して……これら全て分単位で管理を行ってました。

そして休むときはしっかり休む。
人間はずっと集中し続けることは無理なので、自分の集中力が持続する時間を見つけ、その時間単位で日々の行動を管理しました。

勉強法2:特定の科目をしっかり解ける思考トレーニングを行う

司法試験では、法律基本7科目と呼ばれる、憲法・行政法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法に加え、選択科目1つが出題されます。
これだけあれば苦手な科目がありそうと思うかもしれませんが、法律の考え方は全て同じで、一つの科目をしっかりやれば他の科目も自然と底上げできます。
思考の構造としては、“命題”と同じです。
科目が異なっていても、問題と事象から結論に至るまでの論理的思考をトレーニングをすることが大切です。
その思考がしっかり固定化されていれば、どの科目でも応用できます。

反対に、分けて考えると特定の科目に苦手意識が沸いてしまうと私は考えています。

試験前の追い込み

法科大学院の授業が終了したのが2022年12月。
試験までの半年間で何ができるのか、何をするべきか、どの順序で進めるのかひたすら方法を試していたのが2023年1月。
本格的に試験前の追い込みをかけたのは、司法試験の半年前である2023年2月からです。

なお、試験前最後の1か月は、勉強量を少し減らして司法試験当日と全く同じスケジュールで動きました。
例えば、試験初日を想定した日は租税法、憲法、行政法の順番に。
租税法の試験がある時間帯は、租税法の勉強しかしない。
休憩時間はその通りに動くなど、試験当日の流れを体に染み込ませ、本番に困らないようにしていました。

試験前日は緊張で眠れず、受験後から合格発表までは不安の毎日

ついに司法試験前日、私は自覚はないけど緊張していたらしく、全く眠れませんでした。
でも、やることはやってきたし、大学院でも首席を取るなど結果を出してきたので、朝になったら試験会場に行き、答案用紙に名前を書いて

回答さえすれば受かると思いこませつつ、寝不足の朝を迎えました(笑)。

※一橋ローでは席次の公表はありませんが、その年最も成績が優秀だった人について「特に成績が優秀であった者」として表彰が行われます。

試験はあっという間に終わり、受験後の自己採点で短答式の点数が高かったので、受かっているだろうと思い込むことにしました。

とはいえ合格発表までは、できなかった部分ばかりが思い出され、不安が急に込み上げてくることがしばしばありました。
そのためLegalOnでひたすら業務に打ち込み、不安が頭をよぎらないよう必死に働きました。

結果発表当日の思い

結果発表は2023年11月8日の16時でした。
その日もLegalOnで働いていたので、16時から休憩を取り、その時に結果を見ようとしていました。
とはいえ、やはり緊張していて、見ることができず…。

結局、就業後の19時半に思い切って結果発表を開いてみて、合格していたという。
やはり不安は大きかったので、その時はもう歓喜でした。(泣いてないけど)
結果発表は会社で見たので、周囲のメンバーに伝えて祝ってもらいました。

自分自身必死だったのですが、合格できたのは周囲の方々の応援であったり、大学院の先生が親身になって教えてくれたりしたおかげです。
本当に感謝しかありません。

これから目指す弁護士像

現在、私はLegalOnにお世話になっていますが、司法修習が終わった時点でZeLoという法律事務所に入所することが決まっています。
ZeLoは「リーガルサービスの変革」を目指し、スタートアップから中小、大企業までのお客様のサポートをしている法律事務所です。
私はZeLoで、まだ発達していない分野に携わり、未知の領域を切り開いていきたいと考えています。

実は大手法律事務所からもオファーをいただいてたのですが、共同創業者である小笠原さんと角田さんから言われた「誰もやってこなかったことを自分の力で創っていける」という言葉に感化され、大手のオファーを辞退しました。
なぜなら、私は他の人と同じ生き方、色に染まるのが嫌いで、とがり続けたいと思って就活を辞めて弁護士を目指したという点が根底にあったからです。
ZeLoでは先端分野に携わり、目の前で困っている依頼者を支援し、失われた30年を取り戻したいと思います。
取り戻せたら、それが私にとって最高にうれしいことだと信じています。

来年受験される方へ

ここまで私の勉強方法を書いてきましたが、合格者の体験を真に受けてはいけません。←おい!
いろいろな人がブログなどで合格体験記を書いていますが、あくまで個人の体験談であり、一つのサンプルにすぎません。
読まれたあなたに適用できる可能性は、全く担保されていません。
ご自身でトライアンドエラーを繰り返し、自分に合う最高の勉強方法を見つけてほしいです。
その先に、やりたいことが待っていますので、輝く自分をイメージしてめげずに立ち向かってください!
お読みいただきありがとうございました!


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