【短編小説】検閲官との戦い ~挑戦を阻む者~
プロローグ
新しいことに挑戦する「私」と、その挑戦を阻止することが任務の「検閲官」。2人の主張がぶつかり合う。人間の本質とは。
本編
検閲官「よぉ、久しぶりだな」
私「なんだよ、またあんたか」
検閲官「今度は新しく小説を書き始めたみたいだな」
私「・・・そうだよ。また邪魔しに来たのか」
検閲官「お前の小説を誰かが見てくれると思っているのか?」
私「別にいいじゃないか。誰かが見ているとかは関係ない」
検閲官「俺には理解できないんだが、そんなことをして何になるんだ?」
私「自分がやりたいからやるだけだよ」
検閲官「誰もお前の作品に興味がないし、気にすらしていないぞ?」
私「言われなくても分かっている。ただ・・・自分が思い描いた物語を形にしたいと思っただけだ」
検閲官「そんなことは必要ない、いいから辞めろよ。辞めてしまえば、わざわざ作る時間と手間を省けるぞ」
私「・・・逆に聞きたい。何でやりたいことをやってはいけないんだ?」
検閲官「みんな小説を書いていないだろ」
私「意味が分からない。何でみんながやっていないから辞めないといけないんだ?どうして周りに合わせないといけないんだ?」
検閲官「今から始めても遅い。年齢を考えろ。お前が恥をかかないように、親切心で言ってやってるんだ」
私「そんな親切心は必要ない。私は自分の心に素直に従っているだけだ」
検閲官「いいから我慢しろ。目立つことをするな。勝手な行動は許さない」
私「いいからほっといてくれ。あんたには関係ない。自分の人生は、自分で決める」
検閲官「・・・そうかい。そこまで言うなら勝手にすればいい。ただし、後悔するなよ」
私「もちろん、勝手にさせてもらう。明日に生きているかどうか分からないからこそ、今やる必要があるんだ。」
検閲官「いまだに、お前の新しいことを始めるモチベーションが理解できんよ。じゃあな、表自分」
私「あんたはいつまでも安定志向過ぎるよ。裏自分」
登場人物
・私:今の自分自身。通称:表自分。
・検閲官:自分の内側の人格。通称:裏自分。表自分に対して過干渉であり、挑戦を阻止することが任務。
あとがき
本作は私が初めて小説を書こうと考えた時、自分自身の内なる人格(検閲官)との戦いをヒントに執筆しました。
お気づきの方もいるかもしれませんが、内なる検閲官は著書「いくつになっても、ずっとやりたかったことをやりなさい」を参考にしています。
新しい挑戦を始めようとするとき、ブレーキを掛けているのは自分自身だと気が付きました。
「今から始めるのは遅い」、「自分はもう若くない」、「恥をかくかもしれない」など。
やらない理由を探して、必死に挑戦を止めようとするのです。
歳を重ねるに従って人は挑戦に後ろ向きになると聞きますが、この内なる検閲官の影響力(安定志向)が徐々に高まるからではないかと思います。
何歳になっても、やりたいことに取り組む勇気を持ち続けたいです。
子ども心を忘れないようにして、自分の心に正直に生きたい。
「あの時にやっておけば良かった」と言わないように。
後悔しない人生にするために。
*本作品の著作権は著者(Yusuke Eigo)に帰属します。無断転載はお控え下さい。
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