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百合ゲー「推しのラブより恋のラブ」感想

 最近面白いゲームはやるものの、敵と戦ったり哲学的だったりが多かったので、たまにはギャルゲーとかやりたいな…と思っていたところ、ちょうどSteamで「話題の新作」欄にこのゲームが載っていたためチェック。主題歌に惹かれ、ビジュアルに惹かれてさらにチェック。パッケージ版が6800円、Steam版が2070円ということでちょうどいいかも!と思い購入。
 しかも評判が「圧倒的に好評」だったし。

価格:2070円
制作:SukeraSomero
プレイ媒体:Steam
プレイ時間:初見1周1時間30分くらい

 話自体は、女の子同士の恋愛、いわゆる「百合ゲー」とカテゴライズされるゲームです。

 ギャルゲーなら主人公は男、乙女ゲーなら主人公は女、それぞれ恋愛対象は異性、そんなふうな簡単な定義が出来る場合、「主人公は女、恋愛対象は同性」であるこのゲームは「百合ゲー」と定義できると思います。
 多分初めてこういうジャンルのゲームをプレイしたかも…。



まずビジュアルがめちゃくちゃ良い

 バチっと惹かれました。あんまりエロゲーギャルゲーやったことないんですが、もっとアニメ調の、強弱はっきりとした色合いやキャラデザってイメージがありました。DSマイルさんのこの水彩画っぽいって言うのかな、なんというか見てて疲れない、癒されるけれどもキャラクターの表情や感情がしっかり伝わるビジュアル、めちゃくちゃ惹かれて買いました。

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百合ゲーという設定から生まれるシナリオ

 話は、主人公の速星あくる【ハヤホシアクル】(社会人、ソシャゲドハマり中、推しキャラに重課金)に、古館恋【フルタチレン】(女子校生、ガチャ運がめちゃくちゃ良い)が一目ぼれ、半ば強引に同棲生活を始める…といった流れ。

 その後ラブコメ的な色々があるんですが、そこにプラスされるのは同性だっていうところ。


 ギャルゲー、乙女ゲーでは異性同士なのでストーリー上その部分で悩むことって無いと思うのですが、この同性同士っていう点についてもあくるは悩む…というか、最初っからレンを恋愛対象として見ていないんですよね。

 あー、百合ゲーっていうのはこういう要素の悩みもシナリオに入るのかと思うと、先日プレイした「Coffee Talk」の中で、エルフとサキュバスが別種族間での恋愛について悩んでいたことを思い出しました。多数派の意識だとまったく気に留めないところが、いわゆるマイノリティの立場を体験することで問題としてこんなに顕在化するのか…と思うと、ひとつ自分の意識、視点の狭さを感じました。

 レンは最初からずっとあくるを明るく積極的に好き好き言っているのですが、もちろんゲーム終盤までそのまま何事もないわけなくて。

 あくるはとりあえず自宅に一緒に住まわせたけど、別にレンのことはなんとも思ってなくて。

 このレンからあくるに対する一方的な好きのベクトルがどうなっていくのか、そしてそのベクトルに変化が起きたときのキャラクターの気持ちの場面、一番自分としては良かったです。
 特に、異性同士だとどうしても同棲したら恋愛を意識せざるを得ないところがあると思うのですが、全くそのような意識がない主人公が、同性から好意を抱かれての展開は、こういう「百合ゲー」でしか表現できないところなのかなと思いました。

 詳しく書いてしまうとネタバレになってしまうのですが…。もともとAという環境だったところに、変化が加わってBになったとして、その後またAという環境になったとしたら、その環境は以前のAと全く同じでは無くて、「AからBに変化したけどまた変化してのA」になるんだなあと…。伝わりにくいかと思いますが…!
 というか全体で1時間30分~2時間くらいのシナリオ(俺はかなりセリフなど飛ばしたけど。普通にプレイすると5時間~10時間分くらいあるようです)なので、ネタバレにならないよう書くとちょっと難しいかも!


視点チェンジ仕様

 これなかなか体験しないシステムなので新鮮でした。RPGとかのゲームって基本的に、主人公が思い悩んだりして、わからないなりに行動して、それを相手がどう受け止めるか、ってところに面白さやシナリオの魅力が出るのかなーと思っています。

 途中で主人公のあくるからヒロイン(というポジションで良いと思う)レンのほうに主人公、というか視点が変わって、あくるが把握できないはずのレンの心の声なんかが分かるのが意外なシステムだなーと思いました。

 でもWHITE ALBUM2とかもそうだったっけ? 割とアドベンチャーゲームでは多いのかな?

 もちろん、常にそういうわけでは無くて、終盤の話が一番動くあたりはあくる側の視点だし、一部レン側になるというだけなので、あくまでアクセント的なものかもしれないけど。

 小説なんかも、一人称で書かれているものと完全に神の視点で書かれているものがある…なんていうのを昔本で読んだ気がします。
 良い悪いでなく、新鮮ー!と思ったところでした。



あと海外展開が凄い

 これ業界の中ではスタンダードなのかな…?
 日本語、英語、中国語(簡体字と繁体字)が入ってるのが凄い。Steamの評価も大体が海外かな、確か。国内だけで流行ったりするより全然良いと思う。


個人的に

 18禁アペンドパッチは買ってないので全年齢版しかやってないんですが、それでもそういうパッチがあるってことは一応「エロゲー」って枠にも入ると思います。

 エロゲーだけれども話が良い、泣ける、感動するゲームっていうのは昔から色々あって、いまだに語り継がれてる作品も多いと思います。(「だけれども」って言い方がまず失礼かもしれないけど…)

 ただあんまりそういうのをやったことが無くて、でも知っておきたい気持ちはありました。数年前、XBOXに移植された全年齢版で、いわゆる「名作」と呼ばれているエロゲーをやったことはあったんですが…。なんというかその作品の日常パート、日常会話のセリフが自分に合わなくてとても話を進められなかったことがあったんですよね。

 だからちょっと二の足を踏んでいたのですが、その認識が変わったのが「ノラと皇女と野良猫ハート」でした。うわ、今のエロゲーってこんなに日常パートの話面白いのか…と思ってまた興味が沸いてきたということがあって。


 今回購入したのもそういう経緯があって、エロゲーの購入に抵抗が無かったっていうところもあると思います。

 セリフにも抵抗なかったし、あーこういうゲームもいいな、ただただ可愛い~なんて思うだけでも、それは非日常でありゲームでしか体験できないよな~、やってよかったなー、と思えるいい機会でした。

 体験版もあるので、興味ある方はぜひ!


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