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『中村佑介展』 ビックリマンシール生みの親、グリーンハウス米澤さん&兵藤さんとのトークイベント備忘録(2017/7/15)

数年前まで難波の方で開催していた中村佑介さんのトークイベント『本日休業。』に参加する事が夢で、中々行ける機会がなくて夢のまま終わってしまったけれど、大阪でしか開催されない大規模展覧会初日と同じ日に同じ会場で開催されるトークイベントとの事なのでこの機会は逃してはならんと思いチケット販売開始した日に即購入。

対談相手は一世を風靡し、現在ではアイドルや漫画とのコラボで話題となっているビックリマンシールを生み出したグリーンハウスの米澤稔さんと兵藤聡司さん。

私も小学生時代はビックリマンシール(チョコにも)夢中になり、集めていたな…。

そして中村佑介さんも幼少期にビックリマンシールに夢中になり、作者の名前が書かれていない事に憤りを感じ、デザイナーのお母さんの情報網によってグリーンハウスの名前を知ったんだとか。

しかも私の大好きなアジカンのアルバム『サーフブーガクカマクラ』のジャケ絵もビックリマンシールから多大な影響を受けているんだわなこれが。

↑会場は写真撮影可。動画撮影不可。

ビックリマンシールの第一シリーズが出たのが私の生まれる前の話だから、グリーンハウスのお二人共お年を召している方なのかなーと思っていたけれど見た目めちゃめちゃ若い。

軽いジャブみたいな感じで最初にお三方が会場の人達に「ビックリマンチョコを買っていた人手をあげてください」と言ったら流石に会場内殆どの人が手を挙げていて、知らない人は、と言い変えたら一人だけ挙手。若い方だったんだろうか。
ビックリマン第一シリーズを買っていた人という質問では会場の四割ぐらいの人が手を挙げていたのに対し、米澤さんが「女性の方、すみません。」「この辺りからは加齢臭が漂ってきていますね。我々の方は死臭ですが。」と言い出したからこのトークショーは相当面白い事になると確信した。

<以下記憶に残っている話箇条書き>

・デフォルメ二頭身であんなにも体格差を表現でるなんて。デフォルメなのに直線じゃなく湾曲した線で骨に肉を付けている。それを無意識にやっているなんて本当にエロい!

・採用されなかったビックリマンにはお色気の強いものもある。

・漫画コラボはビックリマンの絵で他のキャラクターを書いているのでなく、絵柄は漫画家のそのままでビックリマンぽさもつけているから凄い!

・兵藤さんはグリーンハウスの採用面接の時に大学ノートに描いた漫画絵と一枚のカラー絵を持ってきて米澤さんは落とすつもりでいたけれど何故か採用された。

・80年代に社会現象になった時は、他社からビックリマンの対抗商品を作るよう依頼を受けていて実際に自分で自分のライバル商品を製作販売されていた。

・昔はセル画なので色は後ろから塗っていた。乾いていくと色が変わるから調整が難しい。失敗すると大変だけれど色を剥がすコツを段々覚えていった。

・デジタルになったから仕事時間が縮まると思い込まれていて、納期の要望がどんどん早くなっているけれどそんな事はなくかえって二度手間になり、どうにか調整して貰っている。

・ジャケ絵の好き嫌いは零点数秒で人は判断できるけれど、しっかりと描き込まれているともっとじっくりみたい所有したいという気持ちになりジャケ買いになる。

・ビックリマンシールの元々の遊び方は悪魔の上に天使を貼って悪魔を無効化させる、というものでお守りはスケルトンになっているから悪魔を隠しきれないという感じのルールだったけれどその遊び方をしている子どもは殆どいなかったと思う。

・Q,ビックリマンシール復刻版と元の絵で色が違うのは何故? A,印刷会社が原画を紛失してしまってシールを見ながら再現したから微妙に違ってしまった。

・Q,お菓子パッケージとシールで微妙に色が違うのは何故? A,印刷会社の都合上出力できる色に差が出る。

・ブラックゼウスの髭の色にそこまでこだわりはない。



「職業としてやっている人は子どもの頃絵が物凄く得意で大好きって人よりも褒められるから絵を描いていたという人の方が多い」という話は凄く共感できた。

私も子どもの頃は極度の人見知りで他人と喋る事ができなかったけれど、唯一絵を描く事だけは褒められて、絵が唯一のコミュニケーションツールだった。だから中2ぐらいまでは本気で絵以外の仕事にはつけないしそうでなければ生きていけないって思っていたけれど、親から「お金以前に才能がない」って言われて一気に絵を描く事はどうでもよくなってしまったんだよな。

幼少期、米澤さんは只ひたすらにゴジラの皮膚の部分のみを描き続けていて、兵藤さんは粘土で蛙を作りパカッと開けて内蔵が見える構造にしていたらしい。

やっぱりイラストレーターやデザイナーという職業はクライアントの希望を如何に体現できるかが重要だから、言葉を素直に受け入れられる純粋さと、細やかな仕事が出来る変態的な迄のストイックさが大切なんだろうな。

80年代オマケシール大百科の話になり、最前列にその本の製作に携わった人がいた事によりヒートアップした序盤。類似品の画像と本物の画像を見比べていかに実物の世界の詰め込み方表現力が凄いかが笑っちゃう程理解できた中盤。「マニアックな質問は無しでお願いしまーす! 」という言葉を気にする事なくマニアックな質問が飛び交った終盤の質問コーナー。


変態的なお三方と、会場のビックリマンシールファンの層の厚さ、情熱が入り乱れて興味深い話を笑いながら聞けてとても楽しいイベントだった。

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