past.6 (Rose Garden:act.1.5 Melancholy)

*前回のお話はこちら


カラン。
乾いた鈴の音がする。
「失礼致します、ミシェルお嬢様。」
燕尾服を上品に着こなした執事が近づいてくる。ミシェルの顔が曇る。
「あら、セバスチャン!お久しぶり!」
「ビアンカお嬢様、お変わりないようで何よりです。」
「貴方は氣品が増したようね。貴方にならミシェルを任せられそうだわ。」
ビアンカの誉め言葉に、執事の横顔がさぁっと火照る。コホン、と一つ咳払いをして彼は襟を正す。ビアンカはニヤニヤしながら一部始終を眺める。
「お楽しみの最中申し訳ありません。お嬢様、ドクターがお見えです。」
ミシェルの顔色が一層悪くなる。
「…そう。なら行かなきゃ。」
「ミシェル…」
「大したことないのよ、ビアンカ。本当よ!折角会えたのに残念だけど、私、行かなきゃ。私は大丈夫!…大丈夫よ、本当に…。」
ミシェルは同じ言葉を繰り返す。長く息を吐きながら席を立って執事の手を取る。
「ビアンカ、また是非遊びに来てね。私、待ってるから!さようなら!ごきげんよう!」
「ええ…、きっと来るわ。ごきげんよう。」
ビアンカは二人の姿が消えるまで、彼らの後ろ姿を見つめていた。
ミシェルに渡すはずだった白いレースの日傘を、彼女はずっと握りしめていた。



*If you want ”the end”, this story is ended, but what is the end ???????*

*次回の更新は11/16土曜日になります。
お間違いないよう、よろしくお願いします。



憂鬱な月曜日が始まる前に、私の記事を読んで「あ、水曜日くらいまでなら、なんとか息出来る気がしてきた」と思っていただけたら満足です。サポートしていただいたら、大満足です。(笑)