旅|太陽の街、青の世界|4
松本市美術館を訪れた。草間彌生が作り上げた、そこにしかない風景を切り取りたかった。大小の赤い水玉が眼に飛び込む。その前には今にも動き出しそうな花々のオブジェが鎮座する。多様な色を使いながら、それらは混ざることがない。しかし、明確な輪郭を持ちながらも、確かな調和を生み出している。
書道部の学生たちが純白の衣をまとい、館内へと駆け出していく。このオブジェだけを見て、美術館を後にしようと思っていた。それなのに、身体はここにいたいと願っている。清冽な空気に包まれた、美の熱源。僕