書評 #47|小説 孤狼の血 LEVEL2
残酷な殺人事件から幕は開く。警察と暴力団の間でバランサーの役割を担う、日岡秀一。そのバランスを圧倒的な力と狂気によって破壊する、上林成浩。法整備に代表される取り締まりの強化によって牙を抜かれた暴力団。『小説 孤狼の血 LEVEL2』はそんな流れと現代社会に抵抗する者たち、それを守る者たちの物語である。
上林は強烈だ。幼少期の過酷な体験を受けてか、人間としての情は霧散したかのような振る舞いを見せ続ける。熱くも、冷たくも感じる。しかし、そこに深みのようなものは感じられない。