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自分の結婚式で余興をした新郎

この記事は、ジャグリングアドベントカレンダー2023 7日目の記事です。

ご挨拶

私達夫婦の結婚式に参列してくださったゲストの皆様、携わってくださったすべてのスタッフに、この場を借りて心から感謝申し上げます。

はじめましての方、はじめまして。
最早ジャグラーではない只の社会人、ゆーしんと申します。13年大学入学の94世代ですが、浪人してるので実は93年生まれです。
大会に挑戦するくらいディアボロを嗜んでいる時期もありましたが、今は気が向いた時に楽しくディアボロを回したりポイを回したりボールを投げたりしています。

今回は、結婚式という場で、新郎でありながらジャグリングパフォーマンスをやらせて頂くというワガママを通したので、準備や当日のことを記録としてここに残そうと思います。

それでは本編どうぞ。

やらない理由、やる理由

2023年3月下旬、同年5月の結婚式本番に向け、ゲストの人数や料理などのおおまかな内容が決まりつつあり、残すところは当日の実際の流れに関わる部分、つまり演出の詳細を決めるのみとなっていた。

実は、結婚式計画初期段階では自分でパフォーマンスをすることを考えていなかった。理由は色々あれど、おおまかにこんな感じだ。

  • 演出に組み込む際に浮いてしまう

  • 衣装問題(動きづらい)

  • ゲストは別にジャグリングを見に来た訳ではない(特に新婦側ゲスト)

しかし、演出や当日の流れを詰めるほどに、全然ねじ込めてしまうことが判明していく。

演出に組み込む際に浮いてしまう

道具はどこから出すのか、どんな流れで始めるのか。
かねてより「ステージ中に始まる唐突なルーティン」に疑問を持っていた自分としては、結婚式という一生に一度の舞台の演出が、自分のジャグリングのせいでケチがつくのではないかと思っていた。

しかし、結婚式の披露宴には幕間が存在する。
お色直しである。
新婦のドレスチェンジ待ちで全体の流れがひと段落するので、お色直し直後のタイミングなら唐突感が薄れそうだと考えた。

衣装問題(動きづらい)

ジャグリングの有無にかかわらず、お色直しのタイミングでジャケットを脱いでベストに衣装替えすることは決めていた。
とはいえ、レンタル品のつま先のとがった靴底ツルツルの革靴で動き回るのは厳しい…と思っていたら、オプションで動きやすそうな靴を購入できることが分かった。
お色直し前後の衣装が以下の写真だ。格段に機動力が向上していることが伺える。

お色直し前
お色直し後

ゲストはジャグリングを見にきた訳ではない

これはまさしくその通りなのだが、新郎という人間を知ってもらう上でジャグリングするのはアリな気がした。
ジャグリングそのものではなく、ジャグリングを通して僕自身を見てもらおう。
そう気づいてからは迷いは無かった。
「やれるならやりたい」というのがゆーしんというジャグラーの性格である。

大会からしばらく縁遠い自分にとって、おそらく当日はパフォーマー人生最大の山場を迎えることになるだろうという直感があった。

その直感は的中する。

コンセプトを決める

ここから当日までは普段のルーティン作りと大きな違いはないが、先述の通りルーティンだけが浮くのを避けたかったので、式全体の中でルーティンのもつ意味をしっかり会場スタッフと打ち合わせした。
打ち合わせの結果、「新郎から来場の皆さんに感謝のパフォーマンス」というMCの紹介とともにルーティンを開始するプランになった。

曲選び

感謝のパフォーマンスということで曲選びだ。
明るく楽しく、幸せを届けられるような、結婚式にぴったりの曲を探した。

ということで選んだ曲がこちら。

感謝、というよりは結婚する2人の愛を伝える感じの内容ではあるが、大切なのは祝福に報いることと理屈をつけて曲を決めた。
曲が本当にいいので、是非聴いてほしい。

演技構成

ここはいつもの1ディアボロ。
ゲストにジャグラーは2〜3名しかいないため、安定度重視で見た目の良い技を多めに入れるように心がけた。
後半に当社比ちょっと難しいインテグラルも入れ、自己満足度もカバー。
天井は4m弱あったので、1ディアなら割となんでもできる環境だったと思う。

あとは表情を見せられるようなステージングを心がけた構成にした。

さらに細かい演出

ジャグリングをサプライズ演出にしつつ、ルーティンへの導入はスムーズにするため、以下の方策が取られた。

  • お色直しの待機中に会場で流れる夫婦の紹介ムービーで一切ジャグリングには触れない

  • お色直し入場の際に、写真チャンスを謳ってゲストの視線を入場扉前に集める

  • 入場時、新婦と組んでない方の手にディアボロ持って入場
    そのままMC紹介で扉の前でルーティン開始

プランナーさんと一緒に考えた、渾身の演出だ。サプライズにしたいというこちらの意図を汲んで、盛り上がる自然な流れを考えてくれた。

余談だが、夫婦の紹介ムービーは自分で編集した。ルーティン通し練と不慣れな動画編集作業のため、ゴールデンウィークはフルタイム勤務並みの活動時間だった。

さあ、本番だ。

2023年5月21日。天気は快晴、5月にしては暑すぎるくらいの陽気のもと、式は決行された。
予定していた参列者は、一人も欠けることなく出席してくれた。
(正確には声をかけたけど参加できなかった人はいたが、当日の急な体調不良などは全く無かった)

ここから先、当日の使用楽曲のYoutubeかAppleMusicのリンクを貼っておくので、臨場感を高めるために是非聞きながら読んでいただけると嬉しい。

挙式・披露宴前半が滞りなく進められ、お色直しの退場の時間になった。
前半の模様は今日の内容には直接関係がないので、ここでは割愛する。

お色直し退場の付き添いは、高校の親友二人。

〜退場BGM・ガラスのブルース/BUMP OF CHICKEN〜

着替え、再入場の準備をする。
会場の中では、自分で編集した夫婦紹介ムービーが流れている音が聞こえる。

〜ムービーBGM・新世界/BUMP OF CHICKEN〜

動画に仕込んだ会心のネタで笑いが起こっているのが聞こえる。
大丈夫。いつも通りやればみんな喜んでくれる。
自信を新たに、動画は終わり、MC紹介とともに再入場BGMが流れる。

〜再入場BGM・芸能人はカードが命!/アイカツ!劇中BGM〜

こちらのBGMは私の希望で使うことにした。アニメ「アイカツ!」より、アイドルたちがステージ衣装に変身する時のBGMだ。
ぜひアニメを見て曲を聴いてほしいのだが、この曲の0:52のところで扉が開くように本番オペレーションが組まれている。
秒数指定はこちらから提案したのではなく、プランナーさんがこちらの意図を汲んで1番盛り上がるであろうタイミングを提案してくれた。素晴らしい仕事ぶりだと思う。

扉が開き、拍手が起こる。
MC紹介とともにディアボロを掲げる。
新婦を椅子に座らせ、中央で待つ。

〜ルーティン曲・ダンスホール/Mrs.GREEN APPLE〜

久しぶりの人前ということで、少し動きも硬かった。
多少ミスやドロップもした。
それでも、喜んでいるゲストの顔が見えるくらいの心の余裕があった。

そしてラスサビ前。
BGMが、止まった。

音響トラブルだ。
ゲストの顔が曇る。スタッフの顔はもっとヤバい。慌ててミキサーをいじっている。

なんとかしなければ。
私が絞り出した言葉は、

「適当なBGMで大丈夫です!今流れてる、このままでもいいです!!」

明るく楽しく、幸せを届けるためには、私が狼狽えるわけにはいかない。
とにかく必死で不安だったが、後から動画を見返すと、
ルーティンでやるはずの技と手癖のシークエンスを、BGMのテンポに合わせて即興気味に組み合わせて事なきを得る私がいた。
ちゃんと笑顔だった。

パフォーマンスをやっていて、今後しばらくはこれ以上の山場はないだろうと思った。

大仕事のあとに

ゲストの反応

嬉しいことに、ジャグリングを見たことがない新婦側のゲストから大変好評だった。
怪我の功名か、音響トラブルを即興で乗り切ったのがめちゃくちゃウケた。
特に印象深いのは、新婦友人のロックミュージシャンから「ジャグリングって、ロックなんだな」という感想を頂いたことだった。
あまり貰ったことのないタイプの感想に驚いたが、その時できる全力をぶつけたことが伝わったのを感じ取って、嬉しくなった。

新郎側ゲストからもなかなか好評だった。
何度か私のジャグリングを見たことがある人がほとんどだったので、新婦側ほど新鮮な反応はなかったが、特に嬉しかったのは「ホスピタリティの高い演技」というジャグラーからの感想だった。
人前で演技をすることの大変さを知る人からの労いは、何より温かく思えた。

スタッフの方から

実は、演技直後、担当プランナーさんから
「もしよかったら、式の後半でもう一回ジャグリングしませんか?」という提案を頂いた。
一生に一度の場で、こちらの心残りが少しでも少なくなるように配慮してくれての言葉だったと思うが、丁重にお断りさせて頂いた。
集中力を振り絞ったあとの残り滓みたいなメンタルで通せる内容ではなかったし、もう一回ジャグリングをねじ込むことが、式全体の流れに水を差すとわかっていたからだ。

スタッフはスタッフで、我々新郎新婦のことを最大限考えて動いてくれていた。(音響トラブル時も、とっさに明るめの曲に切り替えてくれていた)
そして、純粋に、私のジャグリングを観客として楽しみにしてくれていた。
心残りが全くないと言ったら嘘になるが、スタッフの誠意と、全体を通して素晴らしい式を作る手助けをしてくれたことへの感謝の方が遥かに大きい。

…願わくば、この先ずっと、あの式場で僕以外の夫婦に音響トラブルなんて起こりませんように。

結び

結婚式用語だと、「終わる」は縁起が悪いので「結ぶ」って言うらしいですよ。式が「終わる」ではなく、式が「結ぶ」。この記事もそろそろ結びです。

振り返ってみると、結婚式の準備は一つのステージ演出そのものでした。僕のルーティンはその中の1演目で、新郎がドヤれる瞬間を用意出来てすごく楽しかったです。

本当は時間があれば、結婚式でやったルーティンの完全版を動画に撮って公開したかったのですが、そんなエネルギーも練習場所も時間もありませんでした…
文章にしただけで十分気持ちが整理できたので、あのルーティンは当日式場にいた皆様との思い出とさせていただきます。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
またどこかでお会いしましょう。
出来れば結婚式にゲストで行きたいです。
それでは。

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