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モノローグ台本『バイバイの光』

『バイバイの光』

作:渋谷悠  原案:月見里りた

(このモノローグは歌詞として書きましたが、朗読しても演じても、また一部、あるいは全部にオリジナルの曲をつけてもOKです。)


殴られたりしたわけじゃない 我慢できる範囲だった
他のいじめより酷くない 我慢できる範囲だった

布団に入ると聞こえてくる 黒いやつらの止まない声
目を瞑っても 耳を塞いでも わたしを責め続ける
やめちゃえば? 死んじゃえば? その方が早くない?
死角から飛んでくる 信じちゃいそうな言葉
あの日のことが 蘇る
あの日の言葉 先生の

君の態度はよろしくない ダメな人間になっちゃうよ
いいかい君の中にはね いい人になれる風船があって
汚い言葉を使ったり 悪い態度を取ってると
その大事な大事な風船が パチンっと割れてしまうんだ
いい機会だからクラスの皆さん 彼女に言ってあげましょう
挙手して教えてあげましょう 悪いところを丁寧に

(挙手して)男好きのクソビッチ
(挙手して)笑顔がマジで気持ち悪い
(挙手して)チェーンソーで切り刻まれてグチャグチャになって死ねばいい
(挙手して)前の学校に帰ったらいい バイバイ


殴られたりしたわけじゃない 我慢できると思っていた
他のいじめより酷くない でも自分を消したくなっていた

布団を出ると聞こえてくる わたしの名を呼ぶ微かな声
目を開いて 耳を澄ますと わたしを励ましてる
やめないで 死なないで 諦めるのは早い
全身を包み込む 信じるのが怖い言葉
わたしの声が 蘇る
わたしの心 本当の

弱いわたしをよろしくね ダメでも何でもいいんだよ
でもね わたしの中にはね なんとか残った光があって
汚い言葉を浴びせられ どんな態度を取られても
その光が光が瞬いて ふわっと力をくれるんだ
いい機会だから黒い皆さん 光を分けてあげましょう
さあごらん 眩しいでしょう なくならないの永遠に

布団の中から出ておいで
光のほっぺは気持ちいいよ
黒いやつら 静かになって散り散りになって消えてった
嘘を信じ込んでたわたし バイバイ

使用許可について

・公演、ワークショップのテキスト、演技動画をYouTubeにアップするなど、ご自由にお使いください。上演許可・使用料は不要です。
・その際、作:渋谷悠のクレジットを明記してください。
・あわせてモノローグ集ハザマのURLをご紹介頂ければ幸いです。
https://www.amazon.co.jp/dp/4846021947

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日本の演劇界・映画界にモノローグを広めるというビジョンのもと、渋谷悠のモノローグを40本以上無料で公開しています。

劇作家・映画監督:渋谷悠とは?

1979年生/東京都出身。バイリンガル。
劇作家・舞台演出家・映画監督。ナレーション、スクリプトドクター、脚本執筆指導や演技指導の講師としても活動する。
第66回ベネチア国際映画祭入選。第46回国際エミー賞ノミネート。2020年度NHKサンダンス・インスティテュートフェロー。
39本の一人芝居が収録された著書モノローグ集『穴』を軸にセミナーや生配信番組を主宰するなど、日本の演劇界・映画界にモノローグを広める活動にも従事している。

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