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スズムシ

感傷を嫌う君が夕暮れに黄昏れる時、
欺瞞や身勝手さが鮮血のように滲む。
白鷺は私達を警戒しながら虫を食べて、
秋に仮装する人々に君の苛立ちは育つ。
自由を愛するなら公平を憎むべきだ、
愛はいつだって身勝手なものなのだから。
身を震わせて鳴いてみればわかる
高揚に靡かず毎日震えていれば、
いつか歌になれる。
だが書かれた言葉はいつか消失する、
絶望に耐えられない祈りは宙吊りにされて
残るのは簡素な足跡だけだ。

メールを書いてくれ、気は進まないだろうけど。
詩を書くけれど感動は作れない詩人よ、
今日も眠れないのか?
或いは譲れないのか?
ルーレットは周り、
君は残念そうに退場する。
暗いポエムを書いて自殺未遂をすることが明らかに凡庸な結末でも、
私達の希死念慮はすり減らない。
消耗品としての生贄は
世界の仕組みに必要なのだ。
木の葉に擬態するスズムシの影絵。
簡素な足跡になろう、今夜だけは。

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