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ガラパゴス諸島と南アフリカがなぜかサピエンス全史を通じてつながった話

こんにちは。自転車で世界一周中ゆーせいです。自転車で世界一周と言いながら、先日はガラパゴス諸島で1週間ほどバカンス気分を楽しんできました。

ガラパゴス諸島での違和感=人間を全く恐れない動物たち

まずはこちらの動画を見てください(宣伝)

https://youtu.be/j6TQQo9ElHE?si=hEoyfSAJP51bDQy7

こちらの動画を見ていただくと分かるのですが、およそガラパゴス諸島にいる野生動物たちは、人間に対する警戒心がとても薄いです。
海イグアナは泳ぐのがとても遅く、アシカたちはそこら中で昼寝をし、ゾウガメに至ってはほとんど動くこともありません😕

私はこの情景が非常に奇妙に思えました。日本で旅行していた時、鹿や猿、猪など日本で見られる多くの動物は、人間を見ると逃げ出して行きました。私にとって動物とは近づくことが容易ではなく、こちらが見つけても近寄って観察することのできないものでした。人間が近寄っても怖がらない動物と言えば、ペットや家畜のように生まれた時から、人間に慣れ親しんだ動物だけというのが私の考えでした。

そのような考えの私から見て、ガラパゴスにいる動物たちは、野生性を失った動物のように見えたんです。すなわち、人間が過度に動物たちを保護するあまり動物たちが人間を恐れなくなり、本来の野生の姿が逆に失われてしまっていると感じました。人間と動物が共生していると言えば、聞こえは良いですが、このような状態は違和感しかありませんでした。野生のはずなのに動物園にいるような感覚で勝手に「野生動物としての矜持はないのか!」と怒っていました笑

南アフリカの動物たちへの違和感=人の声だけで逃げ出す動物たち

話は変わりますが、もう一つ動物に関連して大きな違和感を覚えた出来事が最近ありました。それは以下の動画です。まずは2分ほどのこちらをご覧ください。

https://youtu.be/IngjFS4YeoQ?si=1zsH9B-74lODse3K

ライオンのうなり声よりも、人間の声の方が多くの野生動物にとって脅威と認識され、動物たちが逃げ出している映像は違和感に満ち溢れていました。
この動画では、人間が銃などで動物をたくさん殺したことにより、人間に対する警戒心が強まっているのではないかと言う結論が出されています。これを否定する材料は私には特にはありません。しかし動物たちの情報伝達能力や記憶力がこの実験においてこれほど顕著に結果を出すほど優秀なものだとは感じませんでした。だって、人間が銃を開発したのは、たかだか、数百年前です。その数百年前という期間が動物たちの間で「人間と言うのはとても恐ろしい生き物で銃という飛び道具を持ってるから声が少し聞こえただけでも、脱兎のごとく、逃げ出すしか選択肢はないんだよ」ということが刷り込まれるまで十分な時間だとは思えません。
さらに言えば、野生動物の中には1度も人間を見ないあるいは人間が動物を殺す姿を見ないで、一生を終える動物もたくさんいるでしょう。仮に銃による殺戮がこの警戒心を生んでいるのだとすれば、銃による殺戮を見たことがない世代が1世代もしくは2世代連続してあるだけで、野生動物の人間に対する警戒心は薄れてしまいます。

特に、昨今の動物保護の風潮を見れば人間の声を聞くだけで、動物たちが逃げ出すほどの殺戮が行われているとは考えにくいと思いました。これが、例えば、象(象牙)のように食料以外の経済的価値の高い動物1種類だけの現象であれば、まだ納得がいくところがあるかもしれませんが、動画では、複数の種類の動物たちが一斉に逃げ出しています。

つまり、この動画を見て、私は動物が人間の声を聞くだけで、ライオンの鳴き声を聞く時よりも、早く逃げ出す理由は、銃による殺害以外にもあるのではないかと漠然と思ったのでした。しかしながら、その理由は何なのか私には見当もつきませんでした。

二つの違和感に回答をくれたサピエンス全史

最近少し時間ができたので、一昔前に話題になった「サピエンス全史」なるものを一度くらいは読んでおくか読み始めています。つらつら読んでいると先に記した2つの違和感に対してその答えとなる記述がなされていてそれが割としっくりきたので驚いてしまいました。

サピエンス全史第4章を以上の二つの違和感に沿って要約すると以下のようになります。

すなわち、人類の大陸移動や、その他島々への移動によって、多くの大型の動物が食料となって絶滅しました。オーストラリアでは、50キロ以上の大型哺乳類24種類のうち実に23種類が人類が大陸に到達してから数千年で絶滅しており、オーストラリアの生態系を様変わりさせました。
同様の現象は人類の南北アメリカ大陸進出とともに彼の地でも発生しており、今我々が自然な姿だと思いこんでいる多くの景色は、すでに人類によって様変わりさせられたものなのです。

そしてこの現象は、大陸に限らず、人類の到達した多くの島々で起こりました。マダガスカルやニュージーランド、北極海近郊、地中海の島々など、多くの独自の生態系は、人類の手によって忽然と拭いさられたのでした。

ここでの疑問はなぜ石器時代の技術しか持たない人類がこのような大絶滅を引き起こすことができたのかです。本文中には、3つの説が取り上げられていますが、今回の記事に関連する説だけを取り上げます。

それは多くの大型の哺乳類が、人類を脅威の捕食者であると認識する前に絶滅させられたと言う考えです。人類は鋭い牙や歯はおろか、筋骨たくましく、しなやか身体さえ持っておらず、一見ひ弱な動物に見えます。多くの動物たちは、人間の危険性を理解する前に数千年のうちに不意打ち的に殺されてしまいました。

そして、ガラパゴス諸島を代表とするいくつかの絶海の孤島は、近代に至るまで、人類の手が及ばず独自の生態系を維持したままでした。
つまり、人類に捕食されることが少なかった動物たちは、人類の見た目からして人類に対する危機意識の持ちようがないのです。
これが最初の違和感に対する1つの答えとなりました。

つまり、一つ目の違和感に対する回答はこうなります。彼らは野生性を失ったのではなく、人間の危険性を理解し適応する前に、奇跡的に人類が動物保護意識をここ100年ぽっちで持つようになったためなんとか生き永らえていた。

他方でこの見解はもう一つの違和感の答えでは決してありません。
一見、人類が危険そうには見えないのであれば、ますます動物たちが何故過度に人間を警戒するのかわかりません。なぜ現在の南アフリカの動物たちに脅威として認識されるようになったのかについてもサピエンス全史は一つの回答を用意してくれています。

ホモサピエンスに限らず、およそ人類と言う括りで言えば人類はおよそ200万年前からアフリカユーラシア大陸を徘徊しており、大型の哺乳類を捕食するようになったのは、40万年も前からの事でした。人類が狩猟を始めるようになった最初期から人類と共に生きてきたアフリカユーラシア大陸の動物たちは、人類と言う捕食者を認識学習し、狩猟技術の進化とともにそれを避ける術を身に付ける時間が十分にあったのです。

人類が他の大陸に到達した4万〜1万年前においては、石器時代の狩猟レベルでも突如として現れた新たな捕食者に対して、他の動物たちはその危険性がわからずに絶滅してしまいました。しかし、アフリカ、ユーラシア大陸では数十万年という時間の流れの中で、動物たちは人間の狩猟技術の進歩と共に警戒心を高めることができたのでした。この大陸では、人類は(農業革命が起きるまでの)長年の間周りの環境に影響を与えるほどの力はなく、あくまで生態系の一部でしかなかったのです。

このように、動物たちによる警戒心は、おそらく何万年、あるいは何十万年も前から培われた能力だったことが、多くの動物の人間に対する強い警戒心の一つの答えだと言えるでしょう。もちろん銃火器の登場で急激により多くの動物を殺傷できるようになったことも事実ですので、上記の動画の説明を否定する材料がないことは先に記したとおりです。

でもサピエンス全史を通してたまたま最近に抱いた2つの違和感が少なからず解消されて、とてもスッキリしました。まだ最後まで読み終わっていないですが、他にも興味深い記述が多いのであっとういう間に読み終わってしまいそうです♪

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