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スケッチ鑑賞のすすめ

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スケッチ鑑賞とは、
絵を描きながら絵を見る鑑賞です。
他者や自身の視点の現れを楽しむ「鑑賞視点の鑑賞」、
インプットアウトプットの繰り返しを体験する「みること=つくること」、
がテーマになっています。

<必要物>
・A4紙(画用紙など)+バインダー もしくはスケッチブック
・鉛筆(4Bなど、なるべく濃いもの)
・「鑑賞作品画像のA4コピー」人数分
<参加者>
中学生以上 偶数人が望ましい(ペアのワークがあるため)
<時間>
2時間半〜3時間

⓪導入 

:15分
リンク先のレクチャーを行い、鑑賞する気分をノリやすくしておきます。

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①鑑賞スケッチ 

:15〜20分
鑑賞作品を見ながら、以下の様なルールでスケッチを行います。

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・作品の気になる部分を描きます。
・文字や記号は書けません
・完成させること、上手く描くことが目的ではありません。
・描きながらよく作品を見ます。
・消しゴムは使えません。
・3〜5分で1枚描き、これを3回繰り返して3枚描きます。
・1枚ごとに意識的に異なった視点で描きます。

ねらい
*自分の視点を外に出して、自身や他者と共有しやすくする。
*描くことでよく見る。
*視点を意識的に切り替える。

②ペア対話

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:20分
ペアになり、「話し手」「聞き手」の役に分かれ、
互いのスケッチについて対話します。
「話し手」の3枚のスケッチを見ながら、
「聞き手」は対話型鑑賞をベースにした以下の質問で、
「話し手」から言葉を引き出します。

「これは何ですか?・何を描いたんですか?」
(表現されているものを明らかにする)
「なぜそうしようと思ったんですか?・なぜそう感じたんですか?」
(理由を聞く)
「他に何か気づいたことはありますか?」
(展開)

「聞き手」は自分の意見を話せません。
「話し手」の言葉をよく聞くことが重要です。
「聞き手」の質問に対し、「話し手」の回答が、1:9の割合になる様に。
Yes・Noで答える様な質問をしないように。話が広がりません。
「鑑賞作品のA4コピー」が手元にあると、説明しやすいと思います。
7分程度で役を交代し、同じことを互いに行います。

ねらい
*話すことで自分の考えを整理する。
*相手の話をよく聞くことで、他者視点の共有が楽しいことを経験する。
*話し手・聞き手を分けることで、相手をより理解しようとしてもらう。
*一対一なので、ただただ互いを受容しあう状態に自然に移行できる。

③想像スケッチ 

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:15分
今度は「作品に描かれているもの以外」について、想像でスケッチを行います。
これまでのスケッチや対話の中で、「作品に描かれているもの以外」について、
すでに様々な想像や考えが広がっていると思います。

「作品の状況」「環境」「背景」「物語」「テーマ」「抽象的なイメージ」など、
自分が想像した「作品に描かれているもの以外」をスケッチで表します。
スケッチは異なった内容で3枚描くこと。

完成したら、会場に全員のスケッチを並べ、互いによく見ます。

ねらい
*様々な気づきの可能性を得るために、作品から一旦離れ、
 自身が起点となる鑑賞のイメージを持ちます。
*作品以外を想像することで、逆説的に作品により近づく回路を発想します。

④鑑賞の編集 

:15分(実施時間によっては短縮)
最終課題として、以下の展示物を構成する。

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今回自分が感じたこと、考えたことがよく伝わる様に、
「鑑賞作品のA4コピー」と、
「自分が描いたスケッチ2枚」の計3枚を並べて展示する。

「自分が描いたスケッチ2枚」は、
既に描いたものをそのまま使っても、
修正を加えても、新たに白紙から描いたものでも良い。
他の参加者の作品を見て、表現を模倣しても良い。

ねらい
*これまで広げてきた想像を整理、編集することで洗練化する。
*一度作品から離れたイメージを、再度作品へ接続する。

⑤鑑賞の鑑賞会

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:35分
ペアを合体させ、4人程度の小グループにします。
そのうち1人が先ほど制作した1人の作品を提示して、
作者以外のメンバーが自由に想像や感想などを話し合います。
鑑賞されている作品の作者は話すことができません。
1回7分程度で順番に全員の作品で同じことを行います。

ねらい
*作者の意図との整合性を重視する、答え合わせ的な鑑賞視点から離れる。
*作者側の視点を疑似体験する。
*多層のメタ構造になった鑑賞視点を体験する。(鑑賞視点の鑑賞を俯瞰する)

⑥総括

他者や自身の視点の現れを楽しむ「鑑賞視点の鑑賞」、
インプットアウトプットの繰り返しを体験する「みること=つくること」、
などのテーマに触れ、プログラムを閉める。


実施ログ↓


派生編↓


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