推し活
私が実家に帰省して本来の自分に戻っていた時、
自分でも信じられない想定外の事が起きた。
夢見る事も想像する事も妄想する事さえなかった。
なんて言う言葉があてはまるだろうか。
そうだ、
...ロックバンドに恋をした。かも。
恋と言っても恋愛をする訳ではない。
一方的な片思いで、いわゆる追っかけである。
一昔前は追っかけと言っていたが、今は『推し活』とも言う。
よって人生初の推し活を始める事になった。
信じられないくらい楽しくて仕方がない。
出会いは今から2年前。当時48歳の私には少々応える残暑厳しい9月。
フェス初日は弟と息子が行く事になっていて、私は送迎担当だった。
この時は全くバンドの存在すら知らなかった。迎えに行くと遠くの方から賑やかな音楽が風と共に流れてきて、それと同時に煌びやかな光線が、夏の夜空にエネルギッシュに解き放たれていた。
弟と息子は
『最後のバンドは見んでええよ』と、
少し疲れた様子で、
駐車場まで余韻に浸りながら歩いていた。
ちょうどその時、最後のバンドの演奏が遠くの方から聞こえてきた。
熱意のこもったような声が聞こえてきて、私は何故かその声に引き寄せられる気がして、
さらに何かを訴えかけられているような感じがした。
帰宅後早々に動画で調べてみた。
『さっきの情熱的なMCはこの人達だ』
と、すぐに分かった。
そして、矢継ぎ早に曲を聴いた。
ついに、
私の心は次々と撃ち抜かれてしまった。
この日から私の追っかけ、いわゆる推し活がスタートした。
それからというもの私の日常生活は、普段どおりプラス推し活が増えたので、音を立てながらがらりと変わっていった。
私はすぐにファンクラブに入会し、毎日ファンサイトやSNSでライブスケジュールをチェックして、次のライブ情報をいち早く入手して遠征範囲内のチケットを申し込む日々だ。
人気バンドはチケットが手に入らない事もしばしばある。だから入手できた時は、飛び跳ねるくらい嬉しい。
いや、
飛び跳ねるのを通り越して手と体と声と心が震えるくらい嬉しい。
全身全霊とは私の為にある言葉なのか...
まさかね...
私はライブを通して、家族と一緒に笑ったり、楽しさを語ったりして、楽しさを共有する事を大切にしている。
1人で遠征に行く時も、ファンとの繋がりも大切しながら、自分の年齢なんて気にせずに、
これからも、推し活を思いっきり楽しもうと思う。
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