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yuka~初めて2人で帰る夜~Part1

yukaとの製図室での会話と、帰宅してからの電話は、毎日。
そう、毎日続いていた。

前にも書いたのですが、今となっては会話の内容すら覚えていないほど。
しかし、この会話は互いに高校を卒業し、社会人になり、そして別れの時
まで、ずっと続いていたんですね。

yukaが一方的に話すという感じでもない。
いや、yukaはきちんと自分の話を聞いて、意見を持って話していました。
もちろん、自分も。

大した話はしていないのだろうけど、yukaが話しているイメージを
思い出せば、きちんと自分を持っていて、それが惑うことがない。

かといって、押しつけもない。否定もしない。
yukaと自分に上下関係が無い。凄く心地良い。

けれど互いに言えない事がありまして・・・。

毎日夜遅くまで話してしまう。という事。

yukaの兄が、
「おいyuka。いつまで話しとんねん。オカンも怒っとるぞ」と声がする。

オレは「ぴーん」と緊張してしまって、yukaに大丈夫だろうかと伝えようと
する瞬間に、yukaが

「もうそんなんええから!先に寝といて!!」と兄に怒る。

そしてオレに「ちゃんと言ったから!」と自信気に言う。

オレは、
「いやもう・・・このくらいで終わっとこ。今日も遅いし。」と言った。
あ・・・。とその瞬間にオレは「マズイ事を言った」と気づく。

「ふーーーん。今日も遅いって思ってたんや。」とyuka。
「いやいや。今日は特に遅いかなぁって思っただけや。」とオレ。
その間、yukaはずっと。
「ふーーーん。ふーーーん。ふーーーん。」と言っている。

yukaは「互いに楽しいと思っている事を否定される」と、物凄く不機嫌に
なる。こちらも、気を付けて話しているつもりだけれど、yukaには特に
他の人と違って気を遣わないと。そこはナーバスに。ナーバスに・・・。

しかしこうなるとyukaは言うことを聞かない。
「寝る。寝るわ。もーーー寝るわ。」と言って「はいはい!バイバーイ!」
と言われて、そのままガチャン。

今書いていて思ったのですが、yukaだけは他の女性とは違って対応が
難しかった。
いや・・・。今なら出会いからすっごいうまくやれる!!と思ってはみても、
それは自身が成長した結果なので、無意味無意味な議論( ´_ゝ`)

さて。
このような話になった後の次の日はというと。

今度はyukaが「ダメ」になっているパターン。

製図室に入ると、yukaは他人行儀に顔を真っ赤にして何も喋らない。
怒っているわけではない、yukaのほうが緊張しているんだ。

この当時は、まだ「yuka対処法」を身に着けてなかった。
なので、
「よー」
「おー」
という挨拶が終わってしまうと、黙り込んだ時間が2人を包んでしまう。

「昨日はごめんな。」とオレ。すると、

「違う。それは違うんよ。そんなん言われること・・・。違うんやって。」と
ますます顔を赤くして否定する。

「けど一応謝っとこうかと。」とオレ。
「そんなん欲しいわけじゃないし。んーーーそんなん違うねん。」とyuka。

「どうしたらええん?」と「若かりし頃=対応人任せにしてしまう」オレ。
yukaはもちろん、
「それ人に聞く???」とキッと目を睨みつけた。

「じゃあ。オレも黙っとこうか?」とオレが言うと。
「そういうんでもない・・・。けど、ワタシからは話せない。」と。

今思うとそうなんだ。
「yukaは決まり=ルール」を自分で作る。自分だけのルール。
その自分が作ったルールは絶対で、そのルールは事前に知らされる事がない

そこは年数が経つにつれて、察する事が出来るようになった。
yukaは難しい女性に見えるかもしれないけれど、心は華奢なコでした。

静かな時間がそのまま過ぎていくと、yukaが突然。
「今日は帰ろ!」と振り切ったように笑顔で言う。

「そうだな。帰ろっか。」というと、yukaが
「違う!一緒に帰るんよ!」と、顔を今まで見たこと無いくらいに赤くして
オレに言った。

突然の「一緒に帰ろう」と言われて、オレも面食らって、すっごく緊張して
けど、すぐさま「おおぉお!帰ろ!」と言った。

しかしyukaは、
「校門までは先に行っといて、後で追っかけるから」と。

オレは先に身支度を整えて、学校を抜けて・・・。
あ。どこに向かえばいいんだろうか???とその時気付いた。

オレの通学駅か?
yukaの自宅の方向。つまり繁華街の方向か?

そのままオレは一応yukaの自宅の方向へ足を向けた。

そうするとyukaが自転車で追っかけてきた。
そして、
「こっちから帰るん?」と息を切らして言う。

オレは、
「いや。どっちの方向へ帰るのか分からんかったから」と。

すると、yukaは自転車を押しながらうつむき加減になって、
2・3歩歩くとすぐに、

「ワタシの家に行く!」と、決めたように言った。

「え!?オマエんちに行くの!?」とオレが言うと、
「いや!もう行く!決めた!一緒に帰るんや!」と、オレの気持ち
や予定も関係なく、そう決心したように言い、どんどんと自転車を
押す歩幅が広く、速くなっていった。


ゆうさん


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