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2022年度 決定初任給調査の結果が公表されました。新卒の初任給を引き上げている企業の割合は?

産労総合研究所が、初任給の賃金実態を経年で調査している「決定初任給調査」の2022年度版が公表されました。
1961年より調査されている本データ。今年度ではどのような結果になったのでしょうか。

■41.0%の企業が新卒の初任給を増加させた

今回の調査では、前年度の新卒者と比較して、今年度では41.0%の企業が初任給を引き上げたことが明らかになりました。 一方で、初任給を前年度と据え置いた企業は55.4%となり、前年65.7%よりも減少しているようです。 前年度の調査結果と比較してみましょう。

「初任給を引き上げた割合」:41.0%(前年度29.8%)
「初任給を据え置いた割合」:55.4%(前年度65.7%)
「初任給を引き下げた割合」:0%(前年度0.3%)

なお、コロナ禍となる2019年度では、「初任給を引き上げた割合」は50.6%であったため、コロナ禍前の水準ほどではないにしても、 初任給を引き上げている企業の割合が増えていることがうかがえます。 では、初任給を引き上げる理由はどのようなことが挙げられるのでしょうか。

■初任給を引き上げる理由は人材を確保するため

初任給を引き上げる理由では「人材を確保するため」という理由が63.2%となり、 次いで「在籍者のベースアップがあったため」が45.6%でした。
こちらも前年度の調査結果と比較してみましょう。
なお、初任給を引き上げる理由は複数回答ありとなっております。

「人材を確保するため」:63.2%(前年度61.2%)
「在籍者のベースアップがあったため」:45.6%(前年度44.9%)
「初任給の据え置きが長く続いたため」:9.6%(前年度10.2%)

このことから、初任給を引き上げる理由は以前として変化がありません。
企業からすると、初任給の高さが新卒者にとって魅力となるものの一つとして判断していることがうかがえます。

■初任給の高さと人材確保は密接に関与するのか?

就職みらい研究所が公表する「保護者が知っておきたい就職活動に関するデータ12」の中に興味深い内容があります。
それは、就職活動をしている学生の「就職先を確定する決め手が何だったのか」(複数回答あり)についての記載です。
就職みらい研究所によると、2022年卒3月卒業時点の学生は、

「自らの成長が期待できる」:45.8%
「福利厚生(住宅手当等)や手当が充実している」:34.4%
「会社や業界の安定性がある」:30.6%
「希望する地域で働ける」:30.5%
などが上位を占め、収入に関する項目である、
「年収が高い」:11.5% となっております。

ちなみに、「年収が高い」は当アンケート結果では13位となっております。 企業は初任給という賃金で人材確保を図る一方、 新卒者たちはそれ以上に自分に対しての成長ややりがいを求めているのかもしれません。
企業が人材を確保するという意味では、採用活動や離職防止策、労働条件が重要だと思われますが、 企業が学生にアピールするべき内容を、今一度あらゆる角度から考えてみることが必要なのかもしれません。

[参考文献]
産労総合研究所:
「2022年度 決定初任給調査」https://www.e-sanro.net/share/pdf/research/pr_2207.pdf
「2021年度 決定初任給調査」https://www.e-sanro.net/share/pdf/research/pr_2107.pdf

就職みらい研究所:
「保護者が知っておきたい就職活動に関するデータ12」https://shushokumirai.recruit.co.jp/wp-content/uploads/2022/04/hogosha_20220428.pdf

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