見出し画像

レギュラーを、掴む。


 過去2回は9回2死と代打での岡大海選手について紹介しましたが、今回は昨シーズン1年を振り返り2022年に岡大海選手がレギュラーを獲得するには何が重要になってくるのかを見つけていきたいと思います。
 最初に2021年の岡大海選手がレギュラーに定着することが出来なかった原因を「個人の原因」と「チームの原因」の2つに分けて追求したいと思います

1.個人の原因

 個人の原因は成績の乱高下と、外野陣の年齢構成のなか置かれている現状を打破する事ができなかった点にあると考えられます。以下の表をご覧ください。

2021年岡大海・出場試合数と週間打率の相関図

 オレンジ色の棒グラフは岡大海選手がその1週間で打席に立った試合数の変化を表し、青色の折れ線グラフは週間打率を表しています。少ないチャンスの中で結果を出し出場試合数を増加させることは出来たが、その活躍を継続させることはできなかった事が分かりました。
 具体的にいうと4月18〜25日週の前半で同点タイムリーやヒロミナイトの活躍で出場機会を増やした結果、出場数増加によって打率が下がりそれに呼応する形で翌週の出場数も減少していきました。また、エキシビションマッチ明けの8月13日の週ではスタメン出場し活躍を見せますが、試合数が増加することによって翌週は成績を大きく落とす結果になりました。
 しかし打席ではなく守備や走塁等走る分野での出場の方が疲労が蓄積しやすいのではないか、という反対意見があると思います。出場試合数にすると代打も代走も守備固めも同じ1になるので、起用されている時間として比較的わかりやすい打席を与えられた試合数を元に検証したところ、顕著な傾向が見られたので今回はこのような形としました。
 これにより2021年の岡大海選手がレギュラーを取れなかった1つ目の原因は、安定的な成績を残すことが出来なかったからと考えられます。

 2点目は「外野陣の年齢構成」です。昨シーズンの外野陣は荻野貴司選手、レオネス・マーティン選手のベテラン陣がレギュラーとして、残りのひと枠を藤原恭大選手や山口航輝選手、和田康士朗選手の若手、そして岡大海選手が回していました。この場合岡大海選手は若手ともベテランとも違った役回りを求められるのです。
 昨シーズンはマーティン選手と途中交代し、ライトの守備に入る場面がありました。これは守備固めの側面もありますが、マーティン選手の疲労を考慮した交代です。また藤原選手がスタメンで出て、岡大海選手は終盤の代打や代走にまわる事もありました。このように高齢化するレギュラー陣の交代要員にもなり、次世代を担う若手に出場機会を譲ったりと「中間管理職」的な位置に置かれていたのです。
 「常勝軍団を作る」という理念のなか、同じような成績であった場合にはどうしても未来ある若手が起用されがちです。ベテランをスタメンから追いやれる且つ若手に付け入る隙を与えない、そんなレギュラーとして確立できる成績を残せずに現状を打破することが出来なかった点が岡大海選手がレギュラーを取れなかったもう1つの要因であると考えます。反対に荻野貴司選手が出遅れている今、結果を残すことができればレギュラーが見えてきますね。

 これらの事から岡大海選手がレギュラーを取れなかった個人の原因として

・調子の波が超極端だった事
・外野陣の年齢構成での位置付けを打破できなかった事


の2点が挙げられます。

2.チームの原因

 ここまで「個人の原因」について見てきました。レギュラー獲得には本人の実力が必要不可欠ですが、そこにチーム事情というものも少なからず介在してきます。本章では岡大海選手がレギュラーを取れなかった「チームの原因」について見ていきます。

 1つ目の理由は簡潔に「使い勝手の良い選手だから」です。

 9回打ち切りという特別ルールの中、1点にこだわるチームスタイルのマリーンズにおいて走力や代打成績の良い岡大海選手がベンチに控えている事で、終盤での作戦の幅が広がります(代打率については下記リンク参照)また守備位置も外野全般に加えファーストもこなせる点から、ベテラン外野陣のみならずレアード選手の交代要員としても重宝できるのです。
 このように岡大海選手がベンチにいる事で選択肢が増えるという点がチームの戦い方にマッチしていたと考えられます。

 またこれに加えて「岡大海選手が担っているポジションをこなせる選手が他にいない」こともチームの原因の1つと考えられます。
 例えば「菅野剛士選手の低迷」です。菅野選手は2020年シーズン、クリーンナップを任されるなど打率.260(223-58)の活躍を見せるも、昨シーズンは成績を落とし出場機会が激減しました。同じ外野手でファースト守備のオプションが付いている両者ですが菅野選手の打撃の低迷と2人の走力を比べた結果、岡大海選手をベンチに置くことになったと考えられます。
 さらに、清田育宏元選手の契約解除以来右の代打が台頭しない事も理由として挙げられます。清田元選手は20年シーズン代打で打率.500(16-8)と驚異的な数字を残しました。しかし契約を解除されたことにより昨年右の代打枠が空席となり、そこに岡大海選手があてがわれた形となりました。

 以上の事から、岡大海選手がレギュラーを取れなかったチームの原因は

・能力的に使い勝手の良い選手だから
・他に同じ役割を任せられる選手がいなかったから

この2点であると考えます。 

3.2022年岡大海レギュラーへの道

 ここまで「なぜ岡大海選手はレギュラーを取れなかったのか」にフォーカスしてきましたが、本章からは「今年レギュラーを取る為には何が大切か」というところを見ていきます。

4.「20℃」

 個人の原因の部分でも触れましたが、岡大海選手は昨シーズン安定した成績を残すことができませんでした。なぜそうなってしまったのかを本章ではある仮説を立て、それをもとに検証・考察していきたいと思います。
 その仮説は「体調管理不足」です。日本ハム時代の岡大海選手は食が細く田中賢介氏のサポート、所謂食トレを受けながら克服したという事がありました。ではその経験がロッテで生かせているのか、と言われたら昨年の成績の乱高下を見ると怪しいものがあります。今回筆者は「気温」と言う側面からこれを検証しました。以下の表をご覧ください。

2021年月別平均気温(全国)

 こちらは昨年の月別平均気温になります。寒暖差の激しい1年となり、体調を崩された方も多かったのではないでしょうか。体調管理が難しい1年でしたが、岡大海選手はこの変化を乗り切ることができたのでしょうか。

2021年月別平均気温(全国)と岡大海週間成績

 結論からいうと気温の変化に対応できませんでした。
 グラフを見ていくと春先の20℃を越えたあたりから成績の乱高下が始まり、9月下旬の気温が20℃前後まで落ち着いてきた頃から成績も安定してきた事が分かります。この「20℃」という気温が1つのポイントになっています。
 さらに詳しく見ると前半戦特に酷かった5月中旬から6月の間は、気温の上昇に加え梅雨の時期という事も相まって成績を大きく落としました。また気温が最高値に達した8月も出場数が増加したタイミングと重なり、成績が急降下しています。反対に9月下旬に気温が下がり過ごしやすくなった頃から成績が安定し始め、シーズン終了までその好調を維持しました。

・梅雨、夏バテの時期に成績を落としている
・2度のヒロミナイトや札幌ドームでの同点ホームランなど過ごしやすい環境下では活躍を見せた

 これらの点から2021年シーズン、岡大海選手の成績の乱高下の原因は気温の変化に伴う体調管理不足ではないかという事が分かりました。それぞれ食欲が減退する時期に該当している点ではまだまだ岡大海選手の食生活に改善の余地があると推測されます。

 ここから2022年岡大海選手がレギュラーを獲得する為に最も大切なことは「体調管理、特に食生活をより一層充実させる」ことであると考えられます。

5.結論

 今回のnoteをまとめると、2021年シーズン岡大海選手がレギュラーを取れなかった原因は

・成績が安定しなかったことにより外野陣で置かれた現状を打破できなかった
・使い勝手の良さ、代役が立てられない等のチーム事情

であり、成績が安定しなかった理由は

・出場試合数増加による疲労蓄積
・20℃以上での体調管理不足
                  でした。

 そして2022年シーズンにレギュラーを掴み取るためには「体調管理、特に食生活の充実」が大切である、という結論となりました。

6.おわりに

 全3回に渡り岡大海選手の昨シーズン1年間を振り返ってきました。岡大海選手は18年途中のトレード加入から長年悔しい思いをし、ようやく昨シーズン多くのファンの方に認められる活躍を見せました。その活躍を言語化する事で更に多くのファンの方に岡大海選手の魅力を伝えられるのではないかと考え今回筆、もとい指を動かしました。
 しかし蓋を開けてみると数字「だけ」では扱いきれない選手であった事がわかり、反対にその「掴みどころの無さ」が沢山のファンの方が彼に惹かれる理由なのであると気付きました。今回のnoteを読んでくださった方が、新しい岡大海選手を発見をしていただけたら幸いです。

以上、お付き合い頂きありがとうございました。


                 おしまい



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?