都心に生きる古木たち-谷中編
東京の都心と言われるエリアは開発も進み、道路とビルだらけで、緑が少ないというのも事実だと思います。しかし、都心にも江戸から続く古い寺社や大名屋敷の痕跡が保存されていて、探してみると案外古木、巨木が見つかります。都市化の中、ビルに囲まれ排気ガスにまみれながらも、健気に都会の喧騒の中で生き抜いているのです。田舎や郊外ではなく、都心にあるからこそ貴重なんだと気付かされます。この目で見ておきたいと思ってきました。
こうした都内の古木は関東大震災の火災や東京大空襲にも耐えてきた証拠でもあります。中には枯れたと思われた木が甦ったり、焼けて幹が炭化して空襲の痕跡を残しているものもあります。
今回は谷中に生きる古木を探訪しました。谷中は「寺町」と呼ばれるように、60以上の仏教の寺も院が集中している古い下町です。寺とともに保存されてきた古木が息づいています。
マップが見えない方(iPhoneのsafariでは警告が出る)はこちらのリンクから。
延命院のシイ
樹齢:400年以上 高さ:16m 幹周5.5m。
日暮里駅と夕焼けだんだんの間にある延命院。山門を入ってすぐ見つかります。樹齢は400年とも600年以上とも。説明板にあるように老木で、大枝が崩落したこともあって多くの支えが必要なようで、枝の張り方や葉のつき方など見た目の迫力はイマイチでした。
谷中のまたぎクスノキ
樹齢:400年 高さ:23m 幹周:7m。
妙雲寺と感應寺の二つのお寺を仕切る塀をまたぐように立っているので「またぎクスノキ」です。見るからに巨木で迫力があります。見学は感應寺側から入り、お墓の間を抜けるとすぐ近くまでアクセスできました。
確かに、塀を跨いでいます。
大雄寺のクスノキ
樹齢:300年 高さ:20m 幹周:5m。
境内に入るとすぐ左側にあります。巨木で都内で一番大きいクスノキといわれています。枝の張り具合が見事で、見上げると巨大さが実感できます。
見上げると、空を覆う迫力に圧倒されます。
根元に勝海舟、山岡鉄舟とともに幕末の三舟といわれた幕臣、高橋泥舟の墓があります。高橋泥舟の墓の写真撮り忘れました。下の写真、根元右側に写っているのが高橋泥舟の墓です。
大雄寺の周辺には隣の谷中岡埜栄泉はじめ、旧吉田酒店、カヤバ珈琲、愛玉子など、谷中の「観光名所スポット?!」になっています。大正、昭和初期の町屋が随所に現存していますので、ぜひ見ておきたいものです。
金嶺寺のタブノキ
樹齢:ーー年 高さ:20m 幹周:5m。
本堂左手の墓地に枝葉を茂らせたタブノキが立っています。根元まで近づくと、幹が大きく空洞化してほとんど樹皮だけになっていました。
谷中のヒマラヤ杉
樹齢:90年 高さ:12m 幹周:3m。
写真で見るように、なんとも情けない姿になっています。2019年の台風被害で枝が折れて大幅に剪定されてしまったそうです。また周囲の宅地開発計画のためヒマラヤ杉も伐採される計画もあるとか…で、保存運動と一悶着ありそうです。根元の「みかどパン」も閉店してしまいましたし、観光スポット化していましたが、消えゆく古木という運命かもしれません。
写真は2022年時点のものですが、現在どうなっているか…不明です。
かつての写真も載せておきます。
noteの記事「観光、食べ歩きじゃない谷中のレトロな街歩き」も同時に参照ください。
併せて、この記事は、私の「東京レトロ街歩きガイド&マップ」サイトのエリア別「Ar-19谷中から根岸、千駄木を歩く」、更に詳しくはテーマ別「Th-14都心に生きる古木」を基に街歩きをしています。記事の内容以外にもAll in Oneのガイド&マップになっています。こちらもぜひ参照ください。
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