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受診してほしい病

デイサービスの看護師さんに多い印象なんだけれど、利用者さんの体調に何か違和感があるとその度に「受診して下さい」って利用者に伝え、「ケアマネさんからも受診を勧めて下さい」って頼まれたりして辟易とすることがある。ケアマネへの連絡は相談員を通してってことが多く、相談員から伝えられても要領を得なくて何が問題でどの医者に行って何を診てもらえば良いのかわからないことも多い。そこが確認できなければ、子供のお使いと一緒で有益な伝達はできない。
利用者からも、それについて悔やみ事を聞かされることがあって、受診するのは良いけれど、医師からは何しに来たんだって言われたり、年のせいだから治しようがない、とかしょうがないとか言われたりする。時間を作って、本人にも無理をさせて受診するのに・・・・
そして、その結果を伝えると事業所から、納得できないって顔をされる。

必要性があっての受診はした方が良いとは思う。ただ、受診するかしないかの判断は家族に任せたい。家族・本人がその必要性を理解して医師に相談しなければ、時間と労力の無駄になる。診察する医師だって何を診るのか伝えられなければ、困惑するだけだろう。受診してもらいたいって伝える事業所はまず「サービス利用時にこんな状態だから」を具体的に伝えて、内科なのか整形外科なのか「診療科」を伝えて、「何を診てもらうのか」まで説明をして、必要ならサービス利用時の状況とかバイタルの数値とかのメモを渡して、「どこに医療的な判断を求めるのか」示すくらいのことをしてほしいと思う。それが必要なんだって感じれば、利用者は動いてくれる。
褥瘡とか湿疹とか皮膚トラブルは比較的わかりやすいし、着衣で隠れてる部分は家族が気づかない場合も多い。でも、写真とか入浴時の観察を事業所から説明すると受診につながりやすい。
繰り返す微熱程度の発熱とか食欲不振、嚥下の困難から何となく元気がない、逆に認知症の症状の増悪など、受診してほしいって要望が出るパターンは様々。その症状がいつからとか、発生する頻度とか、変化はどのくらいとか、その利用者の日頃の状態を把握して、やっぱり医師の判断が必要、何故必要なのかってことをある程度明らかにして提案していただきたいな、と感じる。一事業所単体で無理なことは、ケアマネも協力して家族から自宅での様子を聞き取ったり、他の事業所の状況を確認したりできる。

単に「受診して」だけでは、利用者もケアマネもよく理解できない時がある。明らかで急激な状態変化でない場合に事業所から受診を促される時って大半が、受診で医師の診断とか判断を確認する、というより、自分たちの都合の良いとか自分たちが望む診断結果を欲しがってるような気がしてしょうがない。
往診医の先生なんかが、緩い判断を示すと総合病院に行って診てもらってほしいなんて言う人さえいた。
理想を言えば自分が関わる高齢で寿命で老衰が見込めるような利用者は、往診の先生に入っていただいて、情報共有ツールの活用とか事業所から直に相談ができて情報が共有できるようなシステムの構築ができれば良いと思う。少しずつ可能にはなっていて、快く対応して下さる先生もいて医師が身近にいてくれる安心感は確かに大きい。

受診さえしてくれれば、全て解決する、みたいな考えの介護職や事業所があって、でもそれは勘違いだと思う。医師の判断を求める時には、患者側からの情報提供って大事。日々、低下していく状態とどう付き合うのか、予後を見据えた支援の方針をチームで共有することも大事。安定した日頃の状態をよく観察しておいて、異常があったときそれがどの程度の異常なのか見極める力量が、デイとかショートの職員、特に看護職に求められてることだと思う。

「医者に診てもらえ」の一言なら、専門職じゃなくても誰でも言える。
利用者さん側からの不安や心配、相談事には、多くの場合、受診して医療的な判断を聴いてみたらどうかと助言する。身体的、精神的なことに対して、心身がこうなってる、ってことは医師しか言ってはいけないことだから。それをどういう風に捉えるのか、利用者の気持ちを聴いていくのがケアマネの立ち位置。