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勝手にあぷりこっと賞

宇宙杯、鶴亀杯、十六夜杯そして今回の白熊杯。見よう見まねだったり恐る恐るだったり、ドキドキしながら参加している。春夏秋冬一巡して、その度新しい出会いや発見があってnoteでの楽しみが増えている。
「勝手に賞」をいただけてとても嬉しく幸せなので、僭越ながら自分でも選んでみます。
選考の基準は、記事一覧を参照して今の自分に響いた句。心惹かれた句をピックアップしました。

追記:たくさんのコメントをありがとうございます。ゆっくり読ませていただき返信いたします。時間かかるかもしれませんがご了承下さい。自分の発信が何倍にもなってそれ以上の実りをもたらしてくれる、noteの、みんなの俳句大会の素敵なところを再発見しました。

社会的なメッセージを受け取りました。大事なものは何だろう的な感性に共感した2句 良い社会になってほしいと切に願います

380.反省を許さぬ時代ふすま雪
今の世の中の息苦しさ、もう少し許容性が欲しいよね~もっとお互いに認め合ったり許し合ったり、温かい目を持ち合いたい。そんな風に感じました

293.戦争は終はるだらうか冬の空
実際のウクライナ・ロシアとの戦争はもちろんだけれど、世界で日本でいろいろな闘いがある。美化してはいけないことだと思っているけれど、いろいろな葛藤が自分の中にもある。平和への切実な願いに共感しました


高齢者支援の仕事をしているので、死生観とか命とか生まれる・生きる・老いるというようなことに関心が深い自分。そのような視点で琴線に触れた7句

301.忘れられし者の気楽さ冬日向
忘れられし者は自分なのか、他の誰かなのか具体的には記されていないけれど、社会で一線で生きてきた高齢者がリタイアしたあとの景を想像しました。忘れられることは気楽な一面が確かにあって冬の日向で心を温めながらマイペースで生きている、逞しさも感じさせる御句と思いました。

196.忘れ花迎ふる朝のあたらしき
忘れ花という季語から、どうしても高齢とか老齢の人(自分も含めて)を連想するのだけれど、年齢関係なく誰にとってもどの一日もまっさらな新しい朝から始まる。毎日を丁寧に生きる。そんな想いを感じました。

160.軒氷柱母という枷ぶん投げて
この句、これでも母さんの句って今(記事の作成中)知ってある意味衝撃。でも、よくわかる。子供も家族も好きだし大事だけれど投げ出してしまいたい時あるよね~って共感。正直な気持ちを少し冷静に見つめることができるのも俳句の良さって思いました。

191.山茶花や写真の母はいつも端
多分、お母さんは働き者で気遣いの方だったんだろうなって~具体的な描写はなくても清楚なお人柄を感じられる一句です。季語の山茶花が効いています。この母のもとに生まれ育った感謝はもちろん、もっと親孝行したかったな~みたいな思慕も想像しました。

1.いつしんに振りぬく鍬くわよ春を待つ
自然と共に生きる。季節を味方にして時間の流れに沿って生活を慈しむ、この句からはそのような想いを汲み取りました。この時期の畑仕事は土を耕して肥やしを与え土を作るような地道な作業なのかな~大事な土台作りの時期。心構えをしつつ春を待つそんな景色が素敵だと思いました

279.沐浴の赤子の笑みや冬ぬくし
ベビーバスで沐浴布をかけてお風呂に入っている頃の赤子でしょう。赤ちゃんの笑顔は癒やされる。全ての命に幸あれと祈る気持ちになりました。記事投稿された時にも、思わずコメント入れちゃったくらい、読んでる自分も幸せに包まれる一句でした。

96.産湯から湯灌ゆかんへ砕氷船行く
この句、衝撃的にカッコ良いと思いました。産湯から湯灌、生まれて死ぬまでをこんなに端的に表現してしかも、砕氷船。生命は水とともにあって、生きることは切り開いていくこと。そんなメッセージを受け取りました。理屈抜きで大好き。今回の白熊杯であぷりこっとのNo1の御句です。


冬ならではの景色を表現されていて、この季節の素晴らしさに改めて気づくことができました。冬って寒いだけじゃなくて、こんな素敵な景色に出逢えるよ~って教えていただいた4句です。

371.数多とて同じ色なき落葉川
たくさんの落ち葉が川に浮いていて流れてゆく。よく見ると色は同じではなくて形も違う。人だって同様。それぞれに個性があるんだよね~なんて当たり前のことに気づきました。

331.終点は落葉なりけり滑り台
小さな公園を想像。シンプルに見たままを詠まれているのですが、余韻を感じました。滑り降りた先がふっくらとした落葉とも思えるし、終点の落葉でどことなく儚げな印象でもあります。読む側の想いに添ってくれるような御句と感じました

175.さざんかの溢るる白に猫潜む
この句はとにかく想像する景が素敵です。満開の山茶花の生け垣、その中に猫が潜んでいる。気配はあるんだけれど姿が見えない。そこにいるだろう猫の姿も感じられるし溢るるほどに白い花、花の色も数もたくさんあってきれいだな~そんな景色の中に入りたいな~って感じました。

30.万華鏡廻り廻るは六花むつのは
万華鏡です。ただ一本の筒なのに幻想的な景色に誘ってくれます。鏡とビーズで無限の世界を創ってくれる。見ていて見飽きることがありません。
雪が降っている最中、車のフロントガラスには雪の粒が後から後から降りかかりワイパーで透明になって白くなってを繰り返しています。そんな景色は万華鏡みたいだな~って思いました。六花、むつのはな、今回の大会で出会った季語です。美しい言葉です。


ハッとする気付きをいただいた句です。雪とか雨とか空、一つのアイテムに絞って繊細に表現されているのが素敵と感じました。細やかな視点を大事にしたい、お手本にさせていただきたい3句。

232.積もり来る雪ひとひらの重みかな
雪の一片は重さがあるようなないような、フワフワとして頼りないのだけれど、でも確かな存在感がある。静かに降り積もる雪の景色がきれいだなって感じました。

25.結晶を作れぬままで雨落ちる
この句も雪の繊細さを表現している。結晶を「作れぬまま」未完成で少し残念さの響きもあって、作者の独自で新鮮な視点だと感じました。何かの条件が違っていたら雪になったかもしれない。雨と雪を分けるものがあるように、何かが違うと結果も違ってくるのかな~なんてことも考えたりします。


124.冬の空匂いの違うものばかり
この句も、そうそうって共感MAXな一句です。空も雲も気に留めなければ同じに感じられるし、もしかしたら日頃意識することもないかもしれない。だけど、身の回りにあるものよくよく見てみると、色も形も匂いも大きさもいろいろなものが、いろいろに変化したり違って感じられる。
細やかな心で触れたいな~って、句を詠んだり何かを表現するときに忘れないようにしなくちゃって思わせてくれる御句です。

勝手に賞を選ぶのは初めてですが、俳句歴1年目の今の自分に響いた句を集めてみました。今頃~な感じもありつつ余韻を楽しませていただきました。
前回も私設賞トライしてみたのですが、選びきれず絞りきれずで断念。少しずつ自分の鑑賞眼も鍛えられてるのかな~って感じたのが収穫でした。