クレーマーと言われる人がいる。モンスターとも呼ばれたりする。自分が苦情の対象者になってしまったり、対応の窓口にならざるを得ない時もあって、真っ正面から向かい合うと自分の方が壊れてしまいそうになるから、個人としては逃げる選択肢を持っていて良い。
ただ、その逃げる対応だけしかしてないと、モンスターを成長させてしまう。行政とかいろいろな組織はその組織の方針として毅然とした態度を示していくことが必要と思う。なんやかや、自分本位な文句を言って、少し脅すような口調を言って、それで相手がビビってルールを曲げて、自分の思い通りになった、みたいな体験を繰り返していけば、そういう傾向のある人は増長する。
どんなクレームも苦情もよく聴くことが大事。面倒くさいことだし、自分勝手すぎる屁理屈には辟易とするけれど、それでも相手の言い分は遮らず、まず聴くことに徹する。全て聴いた後で反撃は開始する。
理不尽に感じることはいつだってある。それはわからないでもないけど、こっちにはこっちの事情があること、個人の要求をただ聴いてその通りにできるほどの資源はないこと等、できるかぎり丁寧かつ、怖がらず事実だけを淡々と伝えていくこと。

自分が見聞きしたことが全てでないけれど、過去、小さなモンスターに関わって、上記の対応をしていこうって提案が受け入れられずケアマネ交代ってなったことがある。ケアマネに対する苦情として利用者に申し立ててもらって、行政からもケアマネの対応は妥当であること、そういう苦情は受け付けられないって説明してくれないかと頼んだりしたけど、なし崩し的に何も起こらなかった。
久しぶりにその利用者の消息が聞えてきた。モンスターの顔色窺って上辺だけ、黙らせとけば良い、って方針で支援者が関わった結果、モンスターが巨大化していて、当時本人も理解して従っていたこともできなくなっていた。相談援助担当は本人との意思疎通が行えず、近隣の事業所を転々と変えて対応できる事業所がなく、担当者会議どころか月々のモニタリングも怪しい。地域で頭を抱える問題ケースになってるらしい。誰も頼りにならないってサービスしてる事業者から愚痴を聞く。
ケアマネ交代で上等って今も思ってるけど、利用者にも最低限守らなければならないルールがあるってことを包括や行政の担当も共有して、押さえるところを最初に押さえてくれてたら、ここまでにはならなかったんじゃないかと感じる。自分には関係ないことだけれど。

世間には多様な人がいて、相談支援だけじゃなくいろいろなサービス業が大変難しくなっている。自分勝手なことばかり言ってくるお客や利用者が増えていて大きな事件になったりする。自分本位な人、思いやりのない人に当たってしまって、普通に仕事してるだけなのに思わぬ暴言を浴びせられたり、身に覚えのない疑いをかけられたりする。
これに対して、個人の技量で対応していくことは無理がある。その組織がきちんと対応をして小さなクレームのうちに、その芽を摘んでいくのが大事だと思う。この場だけ丸く収まれば良いとか、この程度なら面倒くさいから言いなりになっておく、とかその場限りの行き当たりばったりの対応だけしてると、問題は先送りになって大きくなるばかりだ。

先の自分のケースで言えば、一番の被害者は現場で支援するサービス事業所。訪問するヘルパーが利用者からの暴言にビクビクして、受け入れる担当者も限定されて心理的負担が集中する。イチャモンつければ、都合良くルール変えられるのかって真面目に頑張ってる人のやる気を削ぐ。正当な意見を上に伝えても、利用者には何も言えず、結果的に事業所の不満を抑える形になったりする。

正当な苦情は改善のチャンスとして大事にして、不当なクレームには丁寧かつ毅然と対応していくことが大事だと思う。