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【4通目】病ではなく、人生に寄り添う『全人的ケア』

~病気になっても毎日を心豊かに過ごせるわたしであるために~
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「癌の末期は痛みや苦しさが出てくる。だから最期は緩和ケア病棟がいい」
こう思っている人がいます。
 
確かに癌の末期は様々な苦痛症状が出る可能性がありますが、その症状を和らげるための薬や緩和ケアは、病院と同等レベルで自宅でも受けられます。
 
病院でしかできないこと、それは治療です。手術や抗がん剤、放射線治療ですね。
 
普段私たちと連携をとっている在宅医は、末期の方・ご家族にこう言います。
「末期の方に対して、医者にできることは限られてくる。訪問看護師のほうがよほど頼りになるから安心してね」
 
痛みや苦しさは、必ずしも癌そのものによる苦痛だけではありません。
末期の方・ご家族が直面する苦痛は、下図のように4つの苦痛があるとされています。

身体的苦痛を取り除くことは、病院医療者は当然のこと最大限取り組みます。
しかし他の3つの苦痛は、本当の意味で相手のことを理解しようとしないと、苦痛を和らげることはできません。
病院医療者は、もちろん患者の病気のことは熟知しています。
しかし、性格や考え方、価値感は対話を通してでしか知るすべはありません。
果たして病院医療者は、患者と対話する時間はつくれているでしょうか。

末期ならではの4つの苦痛(全人的苦痛)を取り除くケア、これを『全人的ケア』といいます。
 
対話を重ねて、あなたの考え方、価値観を知ることから全人的ケアははじまります。
 
薬では解決しない。どのようにしたら、あなたの身体とこころが少しでも楽になるのか。
 
これから起こりうる身体の変化を看護師は予測して、穏やかに過ごせるよう支援します。
病院では安全を最優先にして、「~~してはダメ」という制限が増えてきます。
 
しかし訪問看護師は、制限を増やすのではなく、できることの可能性を見出します。
 
あなたの話を聞いて、人生観・価値観を知り、身体の変化があってもゆずれないこと、やりたいことを尊重し、少しでも楽に過ごせるような方法を一緒に考えていきます。
 
”対象者の人生の物語に寄り添った、全人的ケア”
 
私たちはこの看護を意識しているからこそ、先に紹介した在宅医の言葉につながるんです。
 
「この人は、私のことを理解してくれている」
こういう存在がいるだけで、末期の状態であってもこころは穏やかになるのです。

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限られた時間のなかで、あなたがどう生きていきたいのか、お話を聞かせてください。
そしてこれからの過ごし方を一緒に考えていきましょう。
これから先のことが不安でどう生きていきたいのかわからないという方も、
自分の気持ちを言葉にして対話を重ねることで、気持ちの整理ができたり、自分自身が何を大切にしているのか再認識できたりします。
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