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行列に並べるのはきっと今だけだろう 【おやつ日記:4月15日〜5月15日】

4月30日(火)

幸運の象徴・テントウムシを2日連続で発見する。
1日ならまだしも2日れんちゃん!

幸せはひとりじめしないほうがいいと思い、早速母に
「テントウムシを2日連続で見ました!! いいことありそう(^^)」
と興奮気味に写真とLINEを送ると、


「わたしは2日連続家の前でカメムシを見ました、とってもくさいです」
となんとも温度感の低い返信がきて、
「…」
というきもちになる。

誰も悪くないのだけど、しばらく実家に帰るのは控えようかと思う。

幸せのおすそわけ その1
幸せのおすそわけ その2


5月3日(金)

ゴールデンウィーク。金・土・日しか開いていないパン屋さんに行く。9時からの開店で30分前に行ったのに、すでに30人待ち。けれど前に行ったときもとても待ったので、「まあいいか」と思って待つことにする。

それにしても「行列に並ぶ」とは、よほど余裕がないとできない行為だよなあ、と思う。時間もそうだし、気持ちもそう。


快晴のもと、ぼんやりすわって順番がくるのを待っていたら、パンを焼くあの良い香りがぶわーんとただよってきて悶絶する。思わず「うう、やられる…‼︎」と銃でうたれたようなポーズ思い浮かべて、頭のなかでひとり芝居してしまった。にやにや。

突きぬけるような青空と、パンの香り。これを幸せの極みと言わずになんというのだろう。ああわたしって、今めちゃくちゃ余裕があって、贅沢してるんだなあ、と思った。


5月9日(木)

お昼ご飯を買うついでに、職場近くの激安スーパーへ行く。

厚切りがウリの贅沢ポテトチップ108円と、ごくごくふつうのポテトチップ78円。あっちにしようか、いやこっちにしようか、あ、でもやっぱりあっちにしようかとさんざん迷って、結局ふつうのポテトチップをカゴにいれる。


ドラマを見ながら袋に手をつっこんで食べていたら、ふつうに美味しくてあっという間に一袋なくなった。厚切りだろうがふつうだろうが、ポテチが止まらないのは変わらないと思うので、ふつうのポテチにしてよかったな、と思った。

「普通に生きるっていうのが、一番難しかったりするのよ。」というTomy先生の言葉を思い出した。



5月10日(金)

シフトの時間を見間違えて、本当はもっとゆっくりしてよかったのに、早めに身支度を終えてしまった。

せっかくなので、近くの神社でお参りしてから会社に向かうことにする。神社はいつも静かで落ち着くなあ、わたしの心もいつも静かであればいいのに、と思いながら手を合わせる。「ああ、良いことありそう、いやあったやん」と、自転車をのんびり漕いだ。

間違いをすると大体落ち込むけれど、こういううれしい間違いもあるんだなあ、と思った。


5月12日(日)

母の日。祖母と母とわたしで、祖母の家で「サッポロ1番塩ラーメン」を食べる。祖母は何十年も袋麺なんて食べていないらしい。「久しぶりに食べるん、楽しみやわ」と言っていたので、インスタントラーメンとはいえ、つくるほうにも気合いが入る。

麺を茹でて付属のスープの粉を入れ、炒めたもやし、生わかめとゆでたまごと市販の焼き豚をのっけてできあがり。


祖母は「おいひい、おいひい」と言いながら、麺をすすっていてなんかほっとした。

わたしと母は、ラーメンの上にのせるもやしの炒め方で若干喧嘩になり、険悪なまま黙って麺をすする。

そんな空気をもろともせず、「ああ、美味しかったなあ、美味しかった、ごちそうさま」とにこにこしながら、祖母がインスタントラーメンを完食してくれたのが救いだった。


5月15日(水)

トイレットペーパーを、やっと、やっと買う…!

「あとひとつしかない」「あ、今日も買い忘れてしまった」というのをこの4日ぐらいずっと繰り返していて、気になって気になって仕方なかったのだ。

まだ18時台、空が明るいうちのこの時間に帰れたのってなんだか久しぶりだなあ、とトイレットペーパーを右手にぶら下げながら家路につく。

雨が上がったあとだからか、あおい空色にうすーいむらさき色がまだらに混ざっていて、とてもエモい。この色は今日だけの空の色で、明日は明日のこの時間の空の色があるんだなあと思うと、しっかり目に焼きつけたくなった。多分18時台って、そういうことを考えたい時間帯なのだろう。


いつの間にかトイレットペーパーの持ち手が指に食い込んで、少し痛かった。


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※誰かのおやつを食べるお供になれば幸いです※



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