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譲渡会での出会いから10年。我が家の守り神に感謝

この作品は「かんころ編集部夢トレ塾」11月の「ご縁に感謝」に参加しています。

ご縁ときいて思い出すのは、お世話になった先生や仲良しの友人、人生に影響を与えてくれた先人などを思い浮かべる人も多いのではないだろうか。
私は我が家の守り神、ねこのむつきとの出会いを綴っていきたい。

出会いは譲渡会


「ねこを飼いたい」我が家の真ん中の娘かえちゃんはねこが好きで小さな頃からずっと切望していた。小学1年生の時に、野良猫を拾ってきて飼いたいというので「自分で世話するんやで」と約束し飼いだした。けれど、野良猫でもともと弱っていたのか1ヶ月足らずで死んでしまった。

その時のかえちゃんは泣いて泣いてみている私が辛かったので、「もう動物は飼わなくてもいいんじゃないか」と思っていた。

なんやかんやで、前の夫と離婚した当時お兄ちゃんは小学5年生、かえちゃんは小学2年生、末っ子ののんちゃんは保育園年長だった。パパっ子だったかえちゃんが、兄妹のなかで一番ショックを受けていた。

離婚当時は私も必死で、3人の子を育てていかなければ、仕事をしなければという状況。がむしゃらに、家事育児仕事をこなす日々。当時は子どもたちの気持ちを思いやる余裕もなく、気がつけばかえちゃんは学校を休みがちになっていた。

そんな中「ねこが飼いたい」というので留守番も多いし、何よりかえちゃんの癒しになればと、ねこを飼うことにした。かえちゃんは「黒猫がいい」と切望していた、私はペットショップで動物を買うことに抵抗があるので譲渡会や知人からもらえたらいいなと思っていたところ、たまたまあった保健所の譲渡会に出かけたら黒猫が1匹だけいた。

電話で「黒猫1匹だけいるけど」と伝えるとその子がいいとなり、晴れてかえちゃん念願の黒猫を我が家に迎えることになった のだ。

後で聞いた話によると、他の兄弟猫は貰い手がついたのにこの子だけ残っていたとのこと。黒猫は、写真写りがよくないので貰い手が少ないという。

明るくなった我が家

黒猫は「むつき」とかえちゃんが名付けた。人懐っこく犬みたいなねこで、子どもたちのいい遊び相手になった。かえちゃんはみるみる元気になり学校へも行くようになった。私が仕事で遅くなる日も「むつきがいるから寂しくない」とむしろ、うるさい私がいない方がいいような感じでもある。

離婚する家庭は、決断するまで家庭は殺伐としている。我が家も離婚前の2、3年殺伐とした空気で、子どもたちは私の顔色を見ながら生活していた。
離婚してからも、しばらくは私に色々な我慢を重ねていたと思う。けれどむつきがきてから、我が家は確実に明るくなった。

今日はむつきがどこで寝ていた、こんな面白いことしたなど他愛ないむつきの仕草や行動に家族中が心和ませられていたのだ。ペットセラピーという言葉があるけれど、離婚後の子どもたちの心のケアをしてくれたのは間違いなくむつきだと思っている。

背中を見つめる眼差し

かえちゃんは中学生になり、テニス部に入った。毎日毎日部活で家にいる時間は短くなった。けれど、毎晩むつきはかえでのベッドで寝ていた。ある時は端っこで、ある日はかえちゃんの上で守り神みたいにかえちゃんのそばから離れない。

そんなある日、かえちゃんは中学3年生の団体戦の選手に選ばれなかったと悔しくて悔しくて、家で大泣きしていた。「頑張ってたのにな」となぐさめていると部屋のすみにむつきがいて、じーっとかえちゃんのことを見ていた。いつもなら、「撫でてよ!」と手の先に自分の体を擦りつけたりするのに、泣くかえちゃんをただただ見ていたむつきの姿を今でも覚えている。見守るむつきの姿は、「やっぱり守り神だ」と確信するほど神々しかった。

おかえりー

むつきは犬みたいなところがあって、本当に甘えん坊だ。家に来る人は、皆ウエルカム。工事のおじちゃんにも近より「なでなでして」と喉をゴロゴロ言わせて体をすりよせていく。

ある時、子どもたちが出かけていて私が帰宅した時のこと、玄関の鍵を開けるガチャガチャの音で玄関前にきたむつき。私が鍵を開けている間「にゃーにゃー」とまるでおかえりとでもいうように待ってくれていたのだ。

疲れて帰ってきた私は、むつきの泣き声に癒された。同時に、誰もいない家に帰ってくる子どもたちをいつもこうして出迎えてくれていたのかなと想像し、泣けてきた。

最近知ったのだけれど、猫のゴロゴロ喉を鳴らす音は、癒し効果があるそうだ。ゴロゴロの音の周波数は25ヘルツ。25〜50ヘルツは体の緊張をほぐし副交感神経神経を優位にすると聞いて、我が家の子どもたちの心のケアはむつきがしてくれたのだと納得できた。

我が家に来てくれてありがとう

あの日あの時譲渡会でむつきと出会っていなければ、我が家はどうなっていたのだろう。違うねこを飼っていたのかもしれないし、ねこを飼わずに子どもたちの心も癒されることはなかったかもしれない。

むつきと出会ったことで、我が家は確実にいい方向へと変わっていった。我が家の守り神のむつきは今年10才。かえちゃんは成人式を迎える。最近はおじいちゃんになり動くのが億劫になったのか、お腹がかなりメタボになってきた。いつまでも元気で、我が家を子どもたちを見守っていてね。
我が家にきてくれてありがとう。

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