短針くんと長針くん（3）さよなら、長針くん

「世の中には、時間なんてだいたい分かればいいよって思ってる人がいるんだよね。これはどういうことだと思う？そう、長針くんはいらないってことなんだ」
「そんな・・・。でも短針くんは僕がいらないなんて思わないだろ？」
「そうだねえ、どうなんだろう。そもそも僕が短針なのは長針くんがいるからだよね。だから1本になったら短針としての僕の主体はなくなってしまうのかもしれない。それは嫌だな。もっともデジタルになったら二人ともいなくなるんだけどね」