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「子供が欲しい」と自己暗示をかけていたあの頃

自分がDINKsのくせに、ディンクスという言葉を理解していなかった。
字面を目にすることはあったが、自分に関係のある言葉と思わずに、特に調べようとも思わなかったのだ。
英語の頭文字取った言葉が多すぎる。

DINKs(ディンクス)とは、「Double Income No Kids = 共働き子なし」の意味で、自分たちの意思で夫婦二人の生活を選択した夫婦のこと。

つまり、子供を望んでいる場合はDINKsに当てはまらないと言うこと。
さらに言うと、片方が専業主婦/主夫の場合は当てはまらないということか。
まぁ世間一般で使われている意味はもう少し広いかもしれないけど。


私は今、DINKsという状態だ。
でもそう自覚できるには、時間が掛かった。
今回はその体験を紹介する。



結婚して子供を持つのが当たり前という価値観

若い頃は、結婚して子供を2人くらい産むのが『当たり前』なんだと思ってた。
『自然な流れ』でそうなると思っていたし、むしろそれ以外の選択肢があるとは思ってもいなかった。
だから結婚できるかどうかには強い興味があったが、子供ができるかどうかなんて考えもしなかった。

今思うと、子供の頃は子なし夫婦と接する機会が皆無だったのだ。
同級生の家族と関わるから、当然子供がいる家庭ばかりだった。

幼い子を可愛いと思えなかった

私は幼いころから、年下の子が苦手だった。
友達の弟とか、とても苦手だった。
うるさいし、髪とか引っ張ってくるし、蹴ってくるし…
関わりたくなかった。

ある程度の年齢になっても、子供が可愛いという感情は湧かなかった。
いや、可愛いという『感想』は出てくる。
でも「愛くるしい」みたいな、心がキューっと湧き立つような感情は湧かなかった。
それでも結婚すれば、愛しい旦那様の子供を欲しいという感情が自然に湧いてくるものだと思っていた。


結婚後、2年間の仕事優先期間

私はシステムエンジニアとして就職して、2年目の24歳のときに結婚した。
まだまだ仕事を頑張りたい時期だったので、2年は子供を作らないでおこうという話になった。

親戚からは「子供は?」とよく聞かれたが
「今はまだ良いかなと思ってて」と答えると
「そんな悠長なこと言ってちゃダメよ。早いに越したことないんだから」
と言われていた。

でも私たちは、子供が出来ないなら2人だけの生活でも良いよねと話していた。
夫は子供が好きだったが、別に無理に作るものでもないしっていう感じだった。

自然に妊娠はしなかった

2年経ち、そろそろ子供を…ということで、
自分たちなりにタイミングをとったりしていたが、妊娠しなかった。

しばらくして産婦人科に行ってみた。
私の方の検査を一通りしたが、問題は見つからず、
病院でタイミングの指示をもらって実行することにした。

でも仕事も激務で、遅くまで仕事をしてその後病院に行って長時間待たされるという日々がしんどかった。


生理が遅れる度に、不安に襲われていた

タイミングを取って子作りをしているというのに、
私は生理が遅れる度に不安に襲われ、
生理が来ると、ホッとしていた。

まだ子供を持つということの覚悟が出来ていないのかもしれないなと思った。

それに、周りの妊娠報告を聞くとショックで泣いていたので
やはり自分は子供が欲しいのだと思っていた。
今思うと、単に自分が「普通のことが出来ないダメな人間だ」という認知の歪みが生じていただけだったのだ。


無理してまで子供が欲しいと思えなかった

タイミングだけでは難しいということで
とうとう夫側の検査をした方が良いと病院から言われた。

夫は強い拒否反応を示した。

最終的には夫も検査を受けることに渋々同意したが、
私の中で疑問が浮かんできた。

仕事しながらの通院がこんなに大変で、
夫が嫌がっていることをやらせて
そこまでして私って子供欲しいのかな

その疑問が浮かんでから、通院をやめた。
結局夫の検査はしなかった。


子供が欲しくないという本音に気付いてしまった

私は仕事が忙しくて鬱とパニック障害になってしまって
休職期間を経ても体調は良くならなかった。
とにかく体調が少しでも良くなりそうなことは全部やろうという状態だった。

その中の一つが、低容量ピルを飲むことだった。
生理痛が酷かったこともあり、ピルを飲めばホルモンバランスが一定に保たれて、メンタルにも良い影響が生まれるのではないかと思ったのだ。


そこから数年して、体調が安定してきた時、私にこんな感情が湧いてきた。

「ピルをやめてしまったら、妊娠してしまうかもしれない」


そこで初めて、自分が子供が欲しくないと思っていることを自覚した。


『子供が欲しくない理由』なんて無い

子供が欲しいと思えない原因に、夫のことも影響していると思う。
夫は昔からキレると手がつけられなくなる人で、物に当たるのは当然のことだったし、ひどい時は私にも母親にも暴力を振るう人だった。
そして自分の行動が『暴力』に当てはまると自覚できない人なのである。
そんな人と子育てをするなんて無理だと思った。

夫の母親のことも影響していると思う。
夫の母親は「子供を産んだら女性は1年間は外出してはいけない!」とか言う人だったし
街の見ず知らずの人に対しても急に声をかけて
「あなた、ちゃんと子供と手を繋いでいないとダメよ〜。おばさん怖くて心配になっちゃう」
と口出しするような人だ。
知り合いの陰口で「あんな子育てダメよね〜」とか言っていた。
他人に対してでさえそんなだから、私が子供を産んだらどれだけ過干渉になるか恐ろしかった。


でも、結局一番大きいのは、私自身が子供を欲しいと思えなかったのだ。

どうして?と聞かれても困る。
逆にどうして子供が欲しいの?と聞きたいくらいだ。

「子供を産めば自然と可愛いと思えるもんだよ」
なんてよく言われるが、私からすると何て無責任な言葉なのだろうと思う。



子供がいない夫婦も沢山いる

子供が欲しいと思えない自分は、人間として何か欠落しているのだと思っていた。
でも大人になってから始めた習い事の場には、子供がいない夫婦が沢山いた。

今まで自分の世界が狭すぎて、子供がいない夫婦というのは不自然なんだと思っていたが、少し世界を広げるだけで、子なし夫婦なんてよくある形だったのだ。


子供が欲しいフリをしていた

自分はそう納得していても、子供を欲しくないという想いを周りに告げることはなかなか出来なかった。
やはり人間として何か欠落しているという目で見られるのが嫌だったのだ。

「子供は欲しいんですけど、なかなか出来なくて」
そんなふうに濁しながら過ごした。

今思えば、別にそんな風に自分を偽る必要は無かったかなと思っている。

周りへの伝え方について「こうすれば良かったな」と思うこととかは、また別の記事に書こうかな。


子供を産まなかったことを全く後悔していない

「現時点では」という表現になるが、
私は子供を産まなかったことを全く後悔していない。
現在もピルを飲み続けている。


子供がいなくてよかったと思う瞬間はある。
特にこうして夫と離婚などを考えることがあると、子供がいなくて良かったと思う。

夫の母親は一時期
「ココロちゃん(※私のこと)が仕事してるから、息子が仕事を頑張れないんじゃないかしら?ココロちゃんが仕事やめて子供でもできたら、息子も責任感が出て仕事頑張るんじゃない?」
なんて言ってきて、はぁ?と思った。

私の母親でさえ、夫と再構築となったとき
「子供作れば?夫婦上手くいくかもよ」
なんて言ってきた。

親世代にとって、子供は夫婦をつなぐ大切な存在。
子供さえいれば幸せだと言う考えが根強い。

でも私達夫婦が今上手くいっていないのは、子供がいないせいではない。
私は、子なし夫婦を選んで良かったと思っている。


子供を産むにせよ、産まないにせよ、自分で選んだと言うことが大切だし、
それぞれの価値観を認め合える世の中になれば良いと思う。






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