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【講師インタビュー①】言葉にできない生きづらさが重なって不登校に〜佐藤胡桃さんの場合〜

こんにちは! 不登校を乗り越えた経験者が運営するNPO「家庭教師のYURUMI」 編集部です。

今回は、講師の佐藤胡桃(くるみ)さん(仮名)にお話を伺いました!
中学校で不登校を経験した胡桃さん。どんなところが辛かったのか、そして彼女の支えは、転機は──?不登校で苦しむ方へのメッセージもあわせてお送りします。

佐藤胡桃(さとう・くるみ)
津田塾大学(総合政策学部)
指導科目:英語、数学

1. 小さな生きづらさが積み重なって、不登校に

──胡桃さんは、「いじめとかはなかったけれど、小さい生きづらさが溜まっていた」と、自分が不登校になったきっかけを振り返ります。

「不登校だったのは、中1の夏休み明けから中1の終わりまでです。その後は転校しましたが、その学校はルールが厳しくて、あまり自分と合わず……。休みながら通っていましたね。

不登校になった大きな要因は、部活が忙しかったことと、友達関係が難しかったことだと思います。部活は、1年生はほぼ週7で、宿題やテストと両立するのがすごく辛かった。友達も、私は中学から東京に引っ越してきたので、一から友達を作らないといけなくて……疲れる要因が多かったです」

──適応指導教室も家から遠く、少し通いにくかったと話す胡桃さん。「全てが辛かった」と話してくれました。

「適応指導教室は授業があるって感じじゃなくて、生徒は教材を持って自習室に集まり、わからないところがあれば先生に質問します。他の人と交流する機会もありますが、私には合いませんでしたね……家からも遠く、片道1時間半かかる場所にあったので、週1通うのがやっとでした。

不登校の時期は、全てが辛くて、楽しいことがほぼなかったです。適応指導教室に週1回は通おうと思っても、片道1時間半の中でどうしても心が折れちゃって、知らない駅で降りて知らない公園で泣いたりもしていました。当たり前のこともできなくて、本当に辛い状況でしたね……」

2. 不登校を抜け出すきっかけ(留学、通信制高校との出会い)

──そんな胡桃さんの転機になったのは、アメリカへの留学と、通信制高校への編入でした。

「高校1年生のときに、アメリカに留学する機会があったんです。そこの学校がすごく良くて。インクルーシブ(あらゆる人々を受け入れる姿勢のこと)な学校で、本当に楽しかったんですよね。私はずっと校則に縛られて、怒られないか怖がっていたし、周りも悪口を言っているのが当たり前の環境だったので、その学校で先生の優しさに触れて衝撃を受けました。

そこで、自分が日本の学校に合わなすぎたことに気がついたんです(笑)。

それから通信制高校に行きたい、と思い始めて。親の反対もありましたが、1ヶ月くらい言い合いをした末に、通信制の高校に編入しました。

通信制高校は、私にはすごく合う環境でした。私みたいな、発達障害のグレーゾーンにいる人や不登校経験者もいて、先生たちの理解もありました。すごく安心できましたね。ネットでの交流を通じて友達もできました。例えば好きな音楽を通じて話が盛り上がって友達になったり、とか……!」

──今、胡桃さんは、大学の総合政策系の学部に通っています。将来の目標については、「人の生きづらさを、社会のシステムを変えることを通じて支えたい」と話す胡桃さん。

「大学は、心理系・教育系にも興味はあったのですが……人の生きづらさを支援者としてではなく、社会のシステムを変えることで支えたい、と思い、総合政策系の学部に入りました。なんとなくですが福祉の問題に興味があって、それを個人の問題としてではなく社会の問題として解決していきたいなって。それも、政治家になるとかじゃなくて、ビジネスで解決できたらいいなって思っています。

それとは別に、海外の大学院に行ったり、長期留学したいなって気持ちもあります。今関心があるのはエストニアですね。エストニアは北欧の下の方にある国なのですが、社会の中でデジタル化がすごく進んでいるんですよ。なんでもデジタルでできちゃうので、いろんな人に優しい社会だと思っています。

大学には入学してから2ヶ月経ちましたが、授業の感覚も、だいぶ掴めてきましたね。でも、やっぱり課題が多くて……私の行っていた通信制高校ではそこまで課題は多くなかったので、この量の課題をやるのは数年ぶりで(笑)でも結構慣れてきました!」

3. 家庭教師として生徒さんに関わるときに大切にしていること

──そんな胡桃さんは、「生徒さんにとって、一緒にいて楽しい存在になりたい」と語ります。

「私たち講師は、友達ではないし、親や兄弟とも違う距離感で、支援者っていう感じでもなくて……だから、生徒さんが"私といる時間"のことを好きでいてくれたらいいなって思いますね。

私が辛かった時は、誰のことも信じられなかったんです。話しかけられても、『ねちねちアドバイスしてくるんじゃないか』とか、『あとで私のことを笑うんじゃないか』って身構えてしまったり。そういうことをしない存在だと思って欲しいなぁと。私といる時間のことを、楽しいな、好きだな、と思って欲しいですね。

そのために、これはまえまえさん(YURUMI顧問の児童精神科医・前田佳宏さん)に教えていただいたことなのですが、授業の時はゲームとかをする時間も作るようにしています。苦手な勉強だけをやる時間になったら生徒さんも苦しいと思うので」

4. 今、不登校で苦しんでいるあなたへ

「不登校だったり、生きづらかったり……そうすると、いろんな遅れが気になって追い詰められてしまうことがあるかと思います。もちろんそういう遅れを取り戻すという意味でも、YURUMIは力になります。

そして、それだけじゃなくて、自分では失っていることに気づかないようなもの……例えば家族で話す時間とか、自分の考えてることを振り返る時間とか、切羽詰まっていると忘れてしまうようなことを取り戻すことでも、YURUMIは力になれると思います。

焦らないで、皆さんとYURUMIで一緒に考えていけたら嬉しいです!」


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