見出し画像

【能登半島地震による斜面崩壊マップ】ゆるく楽しむ日曜地質学:2024年1月21日号

新年になって早くも20日が過ぎてしまいました。
しばらく書けずにいたら、あっという間ですね。
仙台市は先週一気に寒くなったと思ったら、また気温が上がったらしく、今日は1日雨でした。

能登半島地震の崩壊マップ

2024年はお正月から大災害の発生で胸が痛みました。
能登半島地震で被災された全ての方々には心よりお悔やみ、お見舞いを申し上げます。
東日本大震災の時は被災者だったのでリアルタイムでニュースを見ることは無かったのですが、今回はテレビを見ながら辛くなってしまいました。
しかし、いつまでも「辛い」と言ってる場合ではないですよね。
被災された方々のためにも、私にできることをやっていきたいと思います。

と言うことで、今回は能登半島地震で発生した斜面崩壊(土砂崩れ)の分布マップの紹介をしたいと思います。

国土地理院が1月2日、5日、11日、14日、17日に撮影した空中写真を判読して斜面崩壊と土砂堆積範囲の分布マップを作成しました。

このサイトのリンクからパソコンで直接見ることもできますが、地理院地図をベースとするマップなので、等高線を見慣れていない人には少々分かりにくいです。
しかし「GeoJSONファイル」をスーパー地形で開けることを知り、さっそく確認してみました。

能登半島地震による斜面崩壊マップの地区区分図:国土地理院HPより

マップは上の図のように地区分けされています。
今回は北東端の「珠洲地区・輪島東地区」を見ましょう。

能登半島地震による斜面崩壊マップ①:国土地理院HPより

赤色が斜面崩壊と土砂堆積範囲です。
山間地域に集中しているのが分かると思います。
画像の中央部付近を拡大します。

能登半島地震による斜面崩壊マップ②:国土地理院HPより

ざっと見ても崩壊箇所の多さが分かりますね。
この図だとまだ少し小さいので分かりにくいかもしれませんが、崩壊は尾根部に集中しています。

能登半島地震による斜面崩壊マップ③:国土地理院HPより

さらに拡大したものです。
東北東ー西南西方向にのびる尾根の山頂部がことごとく崩れているのが分かると思います。
地震時の斜面崩壊は、このように「凸部」が崩れることが多いのが特徴だと思います。

規模としては、幅50m未満のものが多く、斜面崩壊としてはそこまで大規模なものではありません。
しかし地震時の斜面崩壊は逃げようがありません。
地震の揺れに対応している間に、一瞬で土砂が来る・・・。
考えるだけでも痛ましいです。

そう考えると、地震時斜面崩壊に関しては事前予測の重要性を感じますが、現状では非常に難しいと思います。
まずはハザードマップの「急傾斜地」が自分の家の近くにあるか?の確認が、今できる最善でしょう。

能登半島地震による斜面崩壊マップ④:国土地理院HPより

今回私が確認した限りで最も大規模なものが、こちらです。
珠洲市西部の地域です。
幅約600m、斜面の長さ約500mですので、斜面崩壊の規模としてはだいぶ大きいと思います。
残念ながら、いくつもの民家が土砂に飲み込まれてしまったようです。

しかしここの場合、ある程度事前に予測できたかも知れないと感じています。地形的に過去に崩壊もしくは地すべりが起こったように見える特徴があり、地質的にも大規模に崩れそうな特徴がありそうです。
まだ詳しく検討していないので、追々、検証したいと思います。

今週の予告

ここ数日で記事は書けましたので、今週は投稿できそうです。

〇1/24 水曜日:都道府県シリーズ
平野形成の原因を探る②【都道府県シリーズ第2周:山形県 小国町編no.1-2】

〇1/26 金曜日:日本の歴史と地形・地質
「三方ヶ原の戦い」を地形・地質的観点で見るpart10【合戦場の地形&地質vol.5-10】
※タイトル変更予定

では、本年もよろしくお願いいたします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?