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【カタクレーサイトって何だ?】ゆるく楽しむ日曜地質学:2024年6月23日号

毎週、この場で「今週から梅雨入りかな?」と言いつつ、気持ちの良い晴天が続いていましたが、とうとう来ました。
仙台市は今日から梅雨入りです。
朝からジトジトと雨が降り続いております。
どうか、3~4日に1度でよいので太陽さん、顔を出してください。


地質豆知識:カタクレーサイトとは?

そもそもこの「日曜地質学」は、スペースの関係上、記事本編では取り上げにくい地質のアレコレを紹介したく、始めました。
しかし体調不良もあって記事執筆が進まない中、なかなかネタが生まれず困っていました。
が、ついに見つかりました!

現在、本編の歴史ものシリーズで長篠城がテーマになっていますが、その近くの地質です。

長篠城周辺の地質

まずこちらの地質図を見てください。

長篠城周辺の地質図:20万分の1地質図幅「豊橋及び伊良湖岬」より抜粋し筆者一部加筆

長篠城の北東の方に赤線で囲った「Ct」という薄青で着色された地質。
北東のものは一定の広い範囲にまとまって分布していますが、すぐ北の赤丸で囲ったものは、少し変なかたちをしています。
断層(黒線)に沿って、細長いレンズ状が2つ並んでいる。

砂が溜まるような河川周辺環境で、部分的に泥がレンズ状に堆積することは良くありますが、断層沿いに見られるのは珍しい。
・・と言いますか、地質図に表記するほどの規模が珍しいというか。

地質図凡例の一部:20万分の1地質図幅「豊橋及び伊良湖岬」より抜粋

これはカタクレーサイトと言う岩石です。
「及びマイロナイト」となっていますが、両者は別物で、ある条件の違いでカタクレーサイトになったりマイロナイトになったりするので、ある分布範囲内で明確に区分けできない場合があり、このような書き方になっていると思われます。

カタクレーサイトとは?

簡単に言うと「断層運動によって岩石がバキバキに割れて変形した岩石」のことです。破砕岩とも呼ばれます。
圧力や温度の低い、地表付近で形成されたものなので、鉱物の再結晶がほとんどなく、もとの岩石の特徴を残しています。

カタクレーサイトの一例:産業技術総合研究所より

このように、ボロボロになった岩片の集合体のようなものです。

地質調査をしていますと、大なり小なり、断層は割とあちこちにあります。
その中でも大きめの断層であれば、カタクレーサイト状の岩石を見かけることもしばしば。
しかし地質図に表記する規模ともなると、珍しい。さすが中央構造線です。

マイロナイトとは?

一方のマイロナイトとは、地下深部の岩石が断層運動によって塑性流動を受けたもの。圧砕岩とも呼ばれます。
塑性流動って何だ?となりますよね(;^_^A

例えば、千歳飴の両端を左右の手で掴み、ジワジワと曲げると、折れずに少しずつ曲がりますよね?あんなイメージです。
この場合は正確には、手から伝わる熱の影響かもしれませんが、圧力がかかった場合でも似たような現象が起きるとイメージしていただければわかりやすいかと思います。

一方、千歳飴に瞬間的に力を入れるとバキッと割れますよね。
これが脆性破壊で、カタクレーサイトはそんなイメージです。

以上、今回の豆知識は「カタクレーサイトについて」でした。

今週の予告

先週は金曜の予定を土曜にスライドし、しかもテーマを急遽変更して「長篠城」にしました。
長篠の戦いを描くにあたり、長篠城の紹介を挟む方が良いとの判断でした。
今週は2記事とも8割がた書いてますので、まず投稿できると思います。

〇6/25 火曜日:都道府県シリーズ 2週目
台地の成因は【都道府県シリーズ第2周:宮崎県 宮崎市編no.1-4】
※タイトル変更します

〇6/27 木曜日:日本の歴史と地形・地質
長篠城の弱点とは?:長篠城の地形と地質part2【お城と地形&地質 其の六-2】

では、今週もよろしくお願いいたします。

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