伊藤忠、原則出社に、コロナ対応、日立は在宅勤務継続。


【伊藤忠は、生産性低下を理由に、原則出社へ】
 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で導入した在宅勤務を継続するかどうかで企業の対応が割れている。伊藤忠商事は生産性の低下などを理由に段階的に原則出社に戻した。一方で日立製作所などは多様な人材を活用できるなどとして継続を決めた。働きやすい勤務体系を示すことができるかどうかが人材確保のカギになる可能性がある。 

【伊藤忠が出社し踏み切った理由として、在宅勤務ので生産性の低下の改善である。】
 5月26日朝、伊藤忠商事の東京本社にはマスク姿の社員らが列を成して出社していった。4月2日に原則在宅勤務を導入してからおよそ2カ月ぶりの出社風景。政府が全面的に緊急事態宣言を解除した翌日から、段階的に出社する社員を増やしていった。東京本社を含む全社で特別な事情がなければ出社するよう切り替えている。
 伊藤忠の在宅勤務解除の動きは他社と比較しても早い。これまでも一部地域で緊急事態宣言が解除されるのに応じて、該当地域では出社へと順次切り替えていた。社員食堂やエレベーターの混雑緩和などの対策をしつつ出社へと踏み切った背景として、岡藤正広会長CEO(最高経営責任者)は「在宅勤務での生産性維持の難しさ」と「取引先との関わり」を挙げた。家庭での集中力維持の難しさや取引先のニーズに対応するため会社という環境が必要という考えだ。

【キーエンスさえ、少しずつ緩和されている】
 単体の平均年収が1800万円を超え、高給に見合った社員の高付加価値な仕事で成長を続けるキーエンスも出社を再開した企業の一つだ。全国を飛び回る営業網が強み。ただ、緊急事態宣言を受けて工場など顧客企業の動きが停滞。キーエンス自体も国内2500人の社員が在宅勤務を推奨され、宣言下では2~3割の出社に抑えられるなど制限の中での仕事となっていた。
 
【出社にと在宅を活かす】
宣言解除後は出社比率をいったん6割まで高め、足元ではほぼ通常勤務に戻した。「研究開発や営業など在宅ではできない」と判断し、会議室の人数制限やパーテーション設置など対策を講じて勤務体制を戻した。一方でウェブ会議システムなどの活用を進め、出張や移動によるロスを軽減。「従来の働き方の継続でなく、今まで以上に幅広な働き方ができる」としている。
 一方、この機会に働き方の見直しを進める企業も出てきた。日立製作所は2021年4月以降の在宅勤務の本格活用に向けて制度などの見直しに着手した。足元では原則在宅勤務を7月末まで継続する。業務や家庭環境によっては業務効率が高まっており、役割の明確化などジョブ型の働き方をいっそう進めていく。
 味の素は緊急事態宣言の解除後も生産部門などを除き原則在宅勤務を続けている。政府が「新しい生活様式」でテレワークなどを推奨するなか「国の方針に沿って行動するのが原則。大企業が率先して新しい働き方を進めるべきだ」と話す。

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