感染防止、クレカも非接触、「かざす決済」世界で主流に。


【感染防止のために、支払いでも接触を減らす動き】
経済活動が再開されるなか、支払いをするときの接触を減らす動きが世界で広がっている。スマートフォンやICチップを使えば感染防止につながると、各国政府も普及に乗り出す。セキュリティーや購買データ提供への消費者の抵抗感は薄れてきた。脱現金でデジタル化が進めば、生産性が高まる可能性もある。

【セブンイレブンやスターバックスも意識し始めているキャッシュレス】
セブン―イレブンは11日から全国2万店でICチップ内蔵のクレジットカードなどをレジにかざすだけで支払いができるようにした。一部店舗の営業を再開したスターバックスコーヒージャパンは店頭で「非接触支払いの推奨」との看板を掲げて、感染防止のためスマホを使った決済を求める。会計時の客と店員の接触を減らす狙いだ。

【マスターカードの調査によると、世界的に非接触型決済が、4割増えたとのこと】
全50州で行動制限が一部緩和された米国では小売りチェーン、ウォルマートがスマホアプリを開発。レジに表示されたQRコードをスマホのカメラで読み取るだけで代金を支払えるようにした。 海外では決済は非接触が主流になりつつある。カード利用は端末での読み取りから、内蔵したICチップをかざす形に移行。米JPモルガン・チェースが発行するデビット・クレジットカードの利用額は3月、多い日で前年比8割増えた。米マスターカードの調査では10人中8人が「非接触型決済を利用している」と答え、「1~3月に非接触型決済の利用が全世界で4割超増えた」。

【Amazonは入店時にQR読み取りで帰りに全て決済される】
セキュリティー上の懸念から限度額を低めに設定してきた金融機関は各国政府の後押しを受け、一斉に対応に乗り出している。5月に都市封鎖を解除したフランスは、非接触型決済サービスの利用限度額を50ユーロと30ユーロから高めた。ドイツは限度額を2倍、ハンガリーやクロアチアは3~4倍にして普及につなげる。 決済のデジタル化はコロナ後の消費行動を変える。米アマゾン・ドット・コムは2月にシアトルに生鮮食品を置くレジなしの店舗を開店した。アプリでQRコードを認識させて入店し、商品をカートにいれる。天井カメラと棚センサーが連動して消費者の動きを把握し、退店後にアプリ上で決済される。将来は手のひらだけでの決済も実現する可能性がある。

【キャッシュレスが広まりつつある】
非接触型決済の市場規模は2020年で2兆ドル規模とみられてきた。新型コロナで普及に弾みがつき、ジュニパー・リサーチは、24年までに6兆ドルに拡大すると予想する。グローバルデータは19~24年まで年平均で23%成長を見込む。 日本は現金信仰が強く、キャッシュレス決済は全体の2割程度にとどまる。19年10月の消費税率引き上げに併せて、ポイント還元事業によって普及率を引き上げようとしている段階だ。 政府の専門家会議が打ち出した「新しい生活様式」には、買い物に通販や電子決済を利用することが盛り込まれた。足元では決済アプリのダウンロード数が急増している。外食店が宅配に乗り出す際の、キャッシュレス決済導入も増えている。

【キャッシュレスのデメリットは反映の遅さはは】
ただ、キャッシュレス決済では売り上げが入金されるまで1~2カ月程度かかるという問題も生じている。一部事業者は入金を月2回に増やすなどで対応しているが、万全ではない。 米スクエアによれば、日本の中小規模事業者が現金集計などに割く時間は年約147時間に及び、人件費換算で8861億円になる。脱現金によって「新型コロナが生産性を改善するきっかけ」になれば、日本企業の競争力向上につながる。

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