テレワーク、行き場提供、ホテル、平日格安プラン、カラオケ店、2480円で30日間。

【ホテルやカラオケ店 部屋の貸し出し需要増】
 新型コロナウイルスの感染拡大で在宅勤務が広がる中、様々な業種の企業がテレワーク需要を取り込もうとしている。ホテルやカラオケ店が部屋の提供を始め、不動産は仕事に適した中古マンションの開発に着手した。家族がいる自宅では仕事に集中できないという人も多い。コロナ収束後もテレワークへの移行が進むとみて対応を急ぐ。
 
【アパホテル 1万5千で4泊5日のプラン提供】
大手ホテルチェーンのアパグループは、平日に4泊5日で利用できるプランを7月末まで提供する。料金は1万5千円からと破格だ。客室清掃は期間中1回だけ頼める。
 「都内のホテルの多くは稼働率が3割程度に減少している」(業界関係者)。自治体の要請で感染者を受けいれる事例もあるが、収入減を補うには程遠い。ホテルの客室は個室でプライバシーが守られており通信環境も整っている。テレワークで稼働率を高め、今後の利用も期待する。
 パーソル総合研究所が2万人以上を対象にした調査では、4月10~12日時点で全国の正社員のテレワーク実施率は27・9%と、1カ月前に比べ約2倍になった。都内に限れば49・1%に達する。

【カラオケ店もテレワーク協力に舵を切る 2480円で平日30日間】
 テレワークが広がり始めた3月は、自宅を出てカフェで仕事をする人も多かった。ただ、4月に入って大手チェーンで休業が広がり、行き場をなくした人が増えている。
 「カラオケの鉄人」を運営する鉄人化計画は、7日から一部店舗の営業を再開した。カラオケ店は東京都などが指定する営業自粛の対象だが、自治体と調整のうえ、テレワーク利用にかじを切った。入会日から平日30日間、何回でも使える「マンスリーパスポート」(税別2480円)などのプランを用意している。午前10時から午後8時まで利用でき、ドリンクバーも使える。
【不動産もセカンドハウスを貸しだす】
 不動産業界も受け皿づくりに動いている。家具付き賃貸物件を運営するレジデンストーキョー(東京・渋谷)は、東京23区のビジネスエリア周辺で展開する約800室のマンションをテレワーク向けに貸し出した。
 インターネットや仕事机などの環境を整えてあり、プリンターやウェブ会議用のヘッドセットも貸し出す。最短1カ月から利用できる。「自宅では集中するのが難しい人がセカンドハウスやオフィスとして活用している」(同社)
 パーソル総合研究所の調査では、「新型コロナ禍が収束した後もテレワークを続けたい」という人は53・2%いた。こうした中長期的なニーズを捉える動きもある。
 大和ハウスグループのコスモスイニシアは、テレワークに適したリノベーションマンションを3月に完成し売り出した。仕事用スペースを居間の隣に設置し、家族と程よい距離を保てる。リコーのプロジェクターを採用し、ビデオ会議などを映せるようにした。「(4月上旬の非常事態宣言発令の前は)子供の勉強スペースにいいという声があったが、発令後はテレワークの機会が増えるだろうからという反応が増えた」(同社)という。

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