オンワード・ZOZO、製造販売で提携、コロナ下、ネットに活路。


【アパレル業界、デジタルを使って活路を見出す】
 不振のアパレル業界でネットとリアルの融合が進む。オンワードホールディングス(HD)とZOZOはデジタル技術を使った衣料品の製造販売で提携する。ZOZOが持つ約100万件の体形データを活用し、8月からオーダーメードのジャケットなどの販売を始める。デジタル技術活用で活路を見いだす動きがアパレル業界で広がりそうだ。
 
【オンワードがついにゾゾタウンに展開!】
 オンワードはファッション性の高いビジネス向けのブランドを、ZOZOの衣料品通販サイト「ZOZOTOWN」で展開する。スタート時は男女向けにジャケットやパンツ、ワンピースなど28種類を販売する。5年で年間売上高100億円を目指す。
 ZOZOが全身採寸用ボディースーツ「ゾゾスーツ」などで蓄積した約100万件の体形データを活用する。利用客はZOZOTOWNで自分の身長と体重を選ぶだけで、体に合うオーダーメードの衣類を注文できる。オンワードが中国のグループ工場で製造し10日~2週間で商品を届ける。
 
【店舗数を半減し、ゾゾとの提携で集客を高める】
 オンワードは2020年3~5月期の最終損益は24億円の赤字(前年同期は16億円の黒字)に転落した。店舗数はこの2年間でほぼ半減の1600店舗になる見通しで、利用が伸びる電子商取引(EC)の強化は喫緊の課題だった。
 自前で利用者を増やすには限界があり、年間800万人の顧客を持つZOZOとの連携で集客力を高める。
 一方、ZOZOは18年に導入した有料会員向けの割引サービスがアパレル企業の反発を招き、大手が相次ぎ撤退し一時的に品ぞろえが減った。老舗アパレルとの連携で、商品開発力や縫製技術を今後のプライベートブランド(PB)などの事業展開に生かせる。ZOZOの利用客は若者が中心だが、オンワードが顧客に持つビジネス層なども取り込めそうだ。
【アパレルは厳しい。大手のブルックスも破産へ】
 アパレル業界ではコロナ感染拡大による店舗休業や在宅勤務の普及でスーツ離れも進み、5月にはレナウンが民事再生手続きに入った。今月8日には米ブルックス・ブラザーズが連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請し経営破綻している。

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