外食、3月売上高4割減も、営業短縮や全面休業、パート給与補償、重荷に。



【東京の飲食店、例年の売り上げから4割減】
 緊急事態宣言を受け、東京都が飲食店に営業時間の短縮などを要請してから1週間。外食企業では居酒屋業態を中心に全面休業に踏み切る企業も相次ぐ。3月の既存店売上高が前年同月比ですでに4割近い減少になっているところに、営業自粛も加わって、今期の利益予想も出せない状態だ。パートやアルバイトなど雇用への影響も懸念される。  


「安全を考えて店舗の休業を選んだ。いつ再開できるか見通せない」
ドトール・日レスホールディングスの星野正則社長は15日の説明会で、2021年2月期の業績予想を未定にした理由を説明した。ドトールコーヒーショップなどの約590店を休業している。  休業前の3月の既存店売上高は前年同月比22%減と、すでに外出自粛が響いていた。休業で4月はさらに落ち込むのが確実だ。20年2月期の純利益は前の期比2%増の60億円だったが、今期は見通しがたっていない。  

【営業時間の短縮は今後も増えていく。】
 16日に緊急事態宣言の対象が全国に広がったことで、休業や営業時間の短縮は増えている。日本マクドナルドは京都や愛知など3府県が新たに飲食店の営業時間短縮を要請したことを受け、午後8時から翌朝5時まで店内での飲食を中止する店舗を、18日から1410店に広げる。ゼンショーホールディングスも牛丼店「すき家」などで17日から、深夜の店内営業を自粛する店舗を増やす。  

【業績だけでなく、雇用への影響も大きい。】
●ハブ
ハブは休業店舗の正社員を特別休暇として、給料を全額支給している。雇用調整助成金も最大額で申請している。アルバイト・パートは4月分は原則として過去3カ月の給与の平均60%を支払い、社会保険加入者はその分を会社が上乗せして支払っている。  
●リンガーハット
リンガーハットは契約社員、アルバイトともまず有給休暇を取得してもらい、その後は休業手当として8割の補償を検討する。ただ緊急事態宣言や営業自粛の期間によっては、収入減が長引き生活に支障がでる可能性もあるほか、企業にとっても負担が重くなる。  外食企業については「家賃交渉と政府の雇用調整助成金を使えば、固定費を売り上げの2割近くまで抑えられる」(いちよし経済研究所の鮫島誠一郎氏)との見方もある。それでも「大手不動産の家賃減免は進んでいるが、中小との交渉は簡単でない」(外食大手)といい、厳しい経営環境が続きそうだ。

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