パソナ、副業人材を紹介、経営戦略立案から軽作業まで、採用ニーズ拡大に対応、2子会社、来月統合。


【給与の即日支払いを導入 パソナ 幅広く人材を紹介するサービス始める】
 人材会社が副業を望む人材の活用を強化している。パソナグループは軽作業から経営戦略の立案まで、様々な人材をまとめて紹介するサービスを8月に始める。パーソルホールディングス(HD)系も給与の即日支払いを導入した。大企業の間で副業の解禁が進む中、業務経験が豊富な副業人材の需要を取りこむ。
 パソナは8月、大手企業の役員やIT(情報技術)など専門知識を持つ人材を紹介する「パソナ顧問ネットワーク」(東京・千代田)と、会社員や主婦らに事務仕事などを提供する「パソナJOB HUB」(同・千代田)の2子会社を統合する。
 新会社では顧客の要望に応じ、様々な業務技能を持つ人材をまとめて紹介できるようになる。今まで他社に流れていた求人や今後増える副業人材の求人を取り込める。

【副業人材の市場が今後拡大する 】
 両社とも足元で人材登録が増えており、企業の副業解禁の影響があるとみている。パソナは「副業など新しい働き方が増えている。特に副業人材の市場は拡大が見込まれる」と話す。
 新会社を通じて、人手不足が深刻な中小企業向けの需要を開拓する。中小企業ではデータ入力など単純な作業に加え、経営戦略の立案やウェブマーケティングなどの専門分野まで必要とされる人材が幅広い。パソナは副業が広まったことで様々な技能を持つ人材が増え、企業からの需要も高まるとみている。新会社の売上高は3年後に、現在の2社合計の3倍にあたる約50億円を目指す。
 新型コロナウイルス下で従業員の副業を容認する企業が広がり、本業の合間に他社で働きたい人は増えている。厚生労働省によると、2017年時点で副業を希望する人は全国に385万人いたとされる。足元はさらに広がっている可能性が大きい。

【セブン銀行と共同 当日に給与を支払うサービスを始める】
 パーソルHD傘下で、1日単位の短期の仕事を紹介するシェアフル(同・港)はセブン銀行と共同で、勤務した当日に給料を支払うサービスを始めた。
 これまでは雇用先の企業が勤務翌月の15日や月末に銀行口座に振り込むケースが多かった。ただ新型コロナの影響で本業の収入が減った人も多く「副業で働いてすぐに給料を受け取りたい人が増えている」(シェアフル)という。
 シェアフルが立て替える形で働き手に即日支払う。雇用先企業が即日払いを利用するには、紹介時にシェアフルに支払う手数料とは別に費用がかかる。ただ、企業側は即日払いで仕事の応募者の増加が見込める。シェアフルのアプリダウンロード数は累計で約36万人と半年前と比べて2倍に増えている。
 地方でも副業人材を活用する動きが出ている。遠州信用金庫(浜松市)は副業人材の仲介を手がけるスキルシフト(東京・港)と業務提携した。
 まず、同信金が経営課題を抱える融資先の企業に販路拡大や生産性向上など要望を確認する。スキルシフトは必要な副業人材の情報を同社の仲介サイトに掲載するほか、大手企業の経営企画やIT部門などで必要な副業人材を確保し、テレワークなどで働いてもらう。
 新型コロナで一時的に労働需要は細っているものの、人材確保は業界にとっても大きな課題だ。副業人材を取りこめば、人材紹介業務などの拡大につながる。
 副業を解禁する企業側は従業員に知見を広げてもらうほか、外部のアイデアを持ち寄り、新事業などを生み出す「オープンイノベーション」を促す狙いがある。新型コロナ下で企業を取り巻く環境が激変する中、企業の副業への関心はさらに高まっている。副業人材への注目は今後も高まりそうだ。

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